みちする

お買い物・グルメ:
湖魚に酒に農産物
駅で生まれた食品も

2023.09.20

琵琶湖観光から〈塩津海道あぢかまの里〉に立ち寄る人の目当ては、湖の魚やでっち羊羹などの有名なおみやげだ。そして訪れる人がびっくりするのは数々の珍味、高級食材など、食通もうならせる興味深い品々がここ道の駅に揃っていること。「鮒寿し」や「鯖寿し」を頼めるレストランで郷土の味が楽しめる。加えてお酒や果物、洋菓子や焼きたてのパンなどが、それらをさらに引きたてる。

「塩津海道あぢかまの里」のおみやげ①:湖の幸いろいろ

琵琶湖の北側、長浜市西浅井町に位置する〈塩津海道あぢかまの里〉には、湖で獲れたばかりの魚やスジエビなどが集まってくる。その中でも、ふなの甘露煮やえび豆は滋賀県民におなじみの惣菜だ。昔から受け継がれてきたやさしい味付けは、どこの家庭の食卓にもすっとなじむはず。

滋賀県名物で、関西を代表する発酵食品でもある「鮒寿し」にも注目したい。ニゴロブナと米を発酵させた「鮒寿し」は、奈良時代から琵琶湖近辺でつくられていたとされる郷土食で「日本最古の寿し」であるという説もある。鮮烈な発酵臭と味は好き嫌いがはっきり分かれるが、〈塩津海道あぢかまの里〉の「鮒寿し」はマイルドな仕上がりで初心者向き。
なお、地元の人は「鮒寿し」の発酵に使った「飯(いい)」も道の駅で買っていくのだとか。焼くとチーズのような風味になる飯は、クッキーなどのお菓子作りに重宝されている。

お食事処〈魚助〉特製のふなずしは、程よい酸味が日本酒に合う。

「塩津海道あぢかまの里」のおみやげ②:お菓子

奥琵琶湖のドライブコースや〈北淡海・丸子船の館〉など、長浜市西浅井町には観光名所が多い。〈塩津海道あぢかまの里〉では、これらのスポットにちなんだお菓子がおすすめ。たとえば、「ピーナッツ煎餅 丸子船」は茶色い生地とかすかな凹凸で丸子船の舟底を表している。こうばしい豆とはちみつの組み合わせが絶妙の和菓子だ。

米どころ長浜市ならではのスイーツは、近江米使用の「お米で作ったバウムクーヘン」。地元で稲作を担う〈阿辻農園〉が、自家製の米でできた生地をしっとりとした食感に焼き上げている。砂糖が控えめなので、米そのものの自然な甘さを味わえる。

「お米で作ったバウムクーヘン」は小麦粉を使用していない。
滋賀県や北陸名物の「でっち羊羹」はばら売りされているので、大勢へのおみやげにちょうどいい。

〈塩津海道あぢかまの里〉のおみやげ③日本酒・ウイスキー

長浜市木之本町内にある〈山路酒造〉と〈冨田酒造〉はいずれも室町時代から続く由緒ある酒蔵で、近江米にこだわり品質管理を徹底して銘酒を生み出してきた。〈塩津海道あぢかまの里〉は、それぞれの看板といえる日本酒「北国街道(山路酒造)」シリーズと、「七本鎗(冨田酒造)」シリーズを並べている。

本醸造の「北国街道」は辛口ですっきり。最初は熱燗にして試してから、冷めていくにつれて鮮明になってくる米の味を楽しむのが通の飲み方。一方、「七本鎗」では「上撰」が食中酒として滋賀県民に愛されてきた。長浜市内の居酒屋では、複雑な米の余韻が特徴的な「上撰」を置くのが定番になっている。

ウイスキーでは長浜市内で活動している〈長濱蒸留所〉のウイスキー「AMAHAGAN エディションNo.2」が個性的だ。〈長濱蒸留所〉は新興のウイスキーメーカーで、複数の原酒を組み合わせてつくる「ブレンデッドモルト」に力をそそぐ。そのオリジナルブレンドをベースに、赤ワインを意識してレーズンやベリーの甘い香りを加えたのが「AMAHAGAN エディションNo.2」。フルーティーでありながらウイスキーの渋味もしっかり守られていてファンを増やしている。

「AMAHAGAN エディションNo.2」はボトルとラベルの華やかなデザインでも人気。

ちょっと意外な〈塩津海道あぢかまの里〉のおみやげ①醤油

自然発酵のもろみを絞っているダイコウ醤油。杉桶の中でもろみを3年も発酵させることがあるいう。

〈塩津海道あぢかまの里〉に並んでいた、バリエーション豊かな醤油は、〈ダイコウ醤油〉の製造。〈塩津海道あぢかまの里〉から車で10分ほどの距離、同じ長浜市木之本町内にある杉桶仕込みにこだわってきた醤油蔵だ。その創業は江戸時代の嘉永6年(1853年)にまでさかのぼる。当時からほとんど変わらない天然醸造の工程がここの持ち味。ただし、少量の醤油を時間をかけて作るので、県外の店舗にはほとんど流通していない。まろやかな味の貴重な醤油を取り扱う希少な販売店のひとつが〈塩津海道あぢかまの里〉である。「こいくち」「うすくち」「たまり」など、選べる種類が豊富なのもうれしいポイントだ。

醤油のほか、ポン酢やだし醤油なども充実している。

ちょっと意外な〈塩津海道あぢかまの里〉のおみやげ②果物

長浜市西浅井町の冬場は寒冷の日が多い。そのため、わずかな日光から栄養をたくわえようとして、ここで栽培されている果物は甘みを増していく。実が熟すまで大切に育てられて〈塩津海道あぢかまの里〉に置かれた、いちご、キウイフルーツ、ぶどうなどはどれも大ぶりでおいしい。
また、敷地内にある〈水の駅栽培ハウス〉で採れたばかりのいちごやぶどう、いちじくなども生鮮コーナーを彩る。早朝のハウスで収穫されてから、朝露が乾く前にパック詰めされる農産物たちはどれもみずみずしく、ジャムやフルーツサンドといった道の駅オリジナル食品の材料にもなっている。

〈水の駅栽培ハウス〉の果物でできたミニジャムセット。季節ごとに果物の組み合わせが変わる。

そのほか、〈塩津海道あぢかまの里〉には農家の手づくり味噌のコーナーもある。健康に配慮する人々に注目の的、発酵食品。その代表格である味噌。こうじから手づくりされた、減塩、無添加の良品が揃っている。

山田錦で作った「甘いお味噌」は濃厚な風味で、味噌汁はもちろん料理の味付けにもぴったり。
からだにやさしい、手作りの逸品を手頃な価格で買うことができる。

おみやげ売り場の隣には、道の駅のフードコートが設けられている。お昼時にはぜひ、入ってみて。

ランチメニュー①:鮒寿し茶漬けセット

鮒寿し茶漬けセット

〈塩津海道あぢかまの里〉では木桶で発酵させた「鮒寿し」の「鮒寿し茶漬けセット」を用意。お食事処〈魚助〉こだわりの「鮒寿し」はクリーミーで、お茶漬けにすることでさらに食べやすくなる。ふなを一切れかじったら、ごはんを一気にすするのが西浅井流だ。丼のそばには、えび豆、「鯖寿し」などの滋賀県で定番のおかずも添えられている。

「鯖寿し」も地元産。肉厚でプリプリの歯応え。

ランチメニュー②鴨そば

鴨そば

〈塩津海道あぢかまの里〉でもっともリピートされているメニューのひとつが「鴨そば」。オーソドックスなかつおだしと、焼いた鴨肉をそばに組み合わせた一品。湖北の寒さをも凌ぐ健康な鴨の肉は淡く美しいピンク色で端麗。その脂とだしが混ざり、そばにしみこんでいく。
もうひとつトッピングされたかき揚げは、琵琶湖産のスジエビが食材。サクサクしたかき揚げの食感が、柔らかい鴨肉とのコントラストになっている。

琵琶湖周辺は真鴨が主流。
えび豆にも使われているスジエビは琵琶湖特産品で、新鮮な身はほのかに甘い。

軽食には〈パン工房 花里夢〉のごパンがぴったり。パン生地とご飯のブレンドによる、もっちりした食感がクセになる。130円で頼める甘酒のサービス(期間は10月~4月末)も好評だ。

赤米や緑米などが入った「古代米ミックス(左)」と、「かぼちゃ」「さつまいも」「よもぎ」を生地に練りこんだ自然発色の「黄紫緑(キラリ)(右)」。
菓子パン、惣菜パン、食パンと種類も抱負。パン好きにはたまらない〈パン工房〉。

米や酒、発酵食品など、〈塩津海道あぢかまの里〉では食品のバリエーションに心が躍らされる。これらの食文化が湖北エリアで発展した背景には、湖の幸、土地の恵みに加え、「北陸と京阪の中継地だったから」との説が有力だ。丸子船で琵琶湖を渡り、北陸と都を往来しながら、それぞれの地域のおいしいものを学んできた塩津海道の商人たち。その活力が今も息づいていることを道の駅〈塩津海道あじかまの里〉が物語っているようだ。

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