みちする

京都府南部の新名物
パールコーンに注目

2023.07.12

久世郡久御山町は京都府南部の山城地域を代表する農業地帯。「日本最大の池」だった巨椋池の干拓地を利用し、特産品の淀大根、千両なすや万願寺とうがらしなどの栽培が盛んだ。
そんな久御山町の新しい名物、白いとうもろこしの「ホワイトコーン(別名:シルバーコーン)」が人気を集めている。ホワイトコーンの糖度はフルーツ並みの18度以上で、ただ茹でるだけでも濃厚な甘みを味わえる。2002年ごろから日本で本格的な栽培がなされるようになり、一気に夏野菜のトレンドと化した。農地に恵まれた久御山町でもホワイトコーンづくりに挑戦する農家は増えてきた。

町内でも特に田畑が多い御牧校区で、小嶋農園はパールコーンを育てている。

今回お話をうかがえたのは、もう10年以上も町内でホワイトコーンを育てている小嶋直樹さん。小嶋さんは〈小嶋農園〉〈大西農園〉〈株式会社村田農園〉〈吉川農園〉からなる生産者グループ〈AGRI SHIP Kumiyama〉のキャプテン。地元からの信頼も厚い小嶋さんの育てているコーンには、いったいどのような特徴が?
「うちらのは『パールコーン』と言いまして、真珠みたいにきれいな色をしています。粒の大きさも自慢で、ジューシーな食感を楽しんでもらえるかなと」。
粒だけでなく、パールコーンは全体的に大きくどっしりと重い。

粒と粒の間に隙間がないのは、しっかり大きく育っている証し。

「それは摘果を細かく行っているからですね」と小嶋さん。摘果とはコーンの余計な雌穂(雌花の集まった部分)を取ってしまうこと。5人の従業員や奥様と協力しながら小嶋さんはシーズン中、コツコツと畑で摘果に精を出す。1株につき1つの雌穂を保つことで養分は集中し、コーンの粒は大きく糖度たっぷりに実っていくのだという。
「たいへんな作業ですけど、それをやらないとコーンはおいしくならないんです。丁寧に作ったうちのコーンはぜひ、新鮮なうちに食べてほしい。生のままでも十分に甘くて驚きますよ」。

地元中学生が農園で職業体験。傷のないコーンを選んで出荷できるよう袋詰めしていく。

それほどまでにおいしいパールコーンの収穫時期は短く、7月初旬から中旬までの2~3週間程度。限られた時間で最高の作物を生み出そうと小嶋さんは日々努力している。
「〈AGRI SHIP〉の仲間たちと情報交換して、コーンのためになることはすぐ共有しています。そんな風に農家同士で協力し合えているのは僕らの強みだと思いますね」。

常に、昨年以上においしいパールコーンづくりを目指す小嶋さんたち。その向上心が実を結び、いまや〈AGRI SHIP〉のパールコーンは百貨店催事や大型スーパーマーケットでも引っ張りだこ。この味を知ってしまえば、今から来年の夏が待ちきれない!



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