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秋のフルーツ特集:フルーツ王国和歌山の道の駅③海南サクアス

2023.10.20 STATIONS

海南市下津町は「下津蔵出しみかんシステム」で有名な地域。収穫したみかんを土蔵で熟成させ、糖度を高めるこの手法は2019年に農林水産大臣から「日本農業遺産」に認定されている。そんな農業と食にこだわるまち下津町に、2023年9月に〈道の駅 海南サクアス〉がグランドオープンした。生産量が全国トップクラスのみかんをはじめとする海南市の農産物と、地元の漁港で水揚げされた海産物がここには揃う。フードコートや、休憩にぴったりの芝生広場を備えた、大規模な複合型の道の駅だ。

新鮮な野菜や和歌山の地酒、みかんはちみつなどが並んでいる〈産直マルシェ〉。秋フルーツでは海南市の特産品「平核無柿(ひらたねなしがき。平種無柿とも書く)」がずらり。その名の通り、種がなくて食べやすいのがこの品種の特徴だ。さらに、その実にはとろけるように濃厚な甘さがそなわっている。「平核無柿」の格別なおいしさの理由は、海南市の特殊な気候にある。海南市は一年を通して瀬戸内式の温暖な気候だが、山間部の夜は非常に冷え込む。こうした昼夜の大幅な温暖差が柿の糖度を上げていく。

道の駅スタッフの撫(なで)さんには、お客さんにおすすめしたい「平核無柿」の食べ方があるそう。
「完熟した『平核無柿』は中がゼリーみたいにやわらかくなります。半分に切ってスプーンで食べられるので、ぜひ試していただきたいです」。

「平核無柿」などの人気の果物が連日、大量に並んでいるのも〈海南サクアス〉の魅力だ。

和歌山県のフルーツでは、みかんも無視できない。和歌山といえば、全国的に有田みかんやはっさく、いよかんが有名だが、秋の〈海南サクアス〉では極早生みかんの「Y26」に注目だ。「Y26」は和歌山県果樹試験場で、「ゆら早生」を改良して生み出された新品種。9月に収穫時期を迎える、まさしく「極」早生のみかんだ。通常、収穫が早いみかんは酸味が強くなりやすいのに対し、「Y26」はすっきりと甘い。初秋から楽しめることから、県内外で徐々に人気が高まってきた。

「Y26」は果実のふくろが薄く、食べやすい。秋の和歌山で採れる「青いみかん」としての認知が広がっている。
和歌山みかんのジュースを特集したコーナー。下津町の特産品・蔵出しみかんもまろやかで甘いジュースになっている。

〈SHIMOTSU FRUITS(シモツフルーツ)〉はオリジナルスイーツやドリンクで早くも話題のフルーツパーラー。〈産直マルシェ〉の下津フルーツを使ったタルトやゼリー、パフェなど、多様なラインナップが次々に生まれている。

〈SHIMOTSU FRUITS〉の様子。ガラス越しにパティシエさんの繊細な技術をのぞけるのがうれしい。
「季節のタルト」(540円)。和歌山の秋を代表するフルーツ、柿のやわらかい食感とサクサクのタルト生地が絶妙にマッチ。
極早生みかん「Y26」を使った「季節のタルト」(400円)。
撫さんは「〈SHIMOTSU FRUITS〉では季節ごとに変わるスイーツメニューにご期待ください」と笑顔でPR。

特産品はもちろん、地元の人たちが親しむ珍しい品種、新しい品種などを数々取りそろえている〈海南サクアス〉。この道の駅はフルーツ王国・和歌山県を支える海南市の新たな名所として、すでに定着し始めている。

おまけ

〈魚盛水産〉は海南市の漁港から魚をそろえている鮮魚店。生け簀で泳ぐ魚をその場でさばいてもらうこともできる。果物と一緒に、海南市の海産物もチェックしてほしい。

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