みちする

道の駅で見つけたおすすめのカフェメニュー①〈藤樹の里あどがわ〉の湧き水コーヒー

2024.01.10 FOOD

ふらりと立ち寄った道の駅で、
温かいコーヒーと甘いスイーツでほっとひと息。
冬のある日、思いがけず出合った、
とっておきのローカルメニューをご紹介。

京都市内から琵琶湖西へと、南北を走る国道161号線。福井県へと続くその道のちょうど中間あたり、滋賀県高島市安曇川町に〈道の駅 藤樹の里あどがわ(以下、あどがわ)〉はある。〈あどがわ〉は「高島市農産ブランド認証制度」の厳しい基準をクリアした、上質な野菜・果物をそろえていることで有名。初夏に収穫される木の実「アドベリー」が、新しい特産品として注目されていることは、以前レポートしたとおり。(※注1)

さて駅ナカの〈安曇川キッチン〉は、十割そばや高島市産野菜を使った「高島カレーセット」のほか、ドリンクやスイーツを楽しめるレストラン&カフェだ。今回の主役は、ここでファンが多い「湧き水コーヒー」。地元で人気なのはもちろんのこと、遠方からも大勢のコーヒー好きが「湧き水コーヒー」目当てに訪れる。

湧き水コーヒー 440円

そのおいしさを生み出す条件は3つ。1つ目は高島市新旭町針江の湧き水「針江の生水(はりえのしょうず)」。針江の地下の水は、比良山系に降った雪や雨が伏流水となったもの。この自然が育んだきれいな湧き水を地域住民は「生水(しょうず)」と呼び、生活用水として昔から利用してきた。

針江地区は「琵琶湖とその水辺景観」の一つとして文化庁認定の「日本遺産」にも選ばれている。

※写真はイメージです。「針江の生水」は一般家庭の蛇口から出るようになっており、その水が〈安曇川キッチン〉へ配達されます。

〈安曇川キッチン〉ではそんな貴重な「針江の生水」を農園〈針江のんきーふぁーむ〉から取り寄せ、調理に使用している。この湧き水で淹れられるコーヒーは雑味がなく、豆の風味を際立たせる。(※注2)

〈安曇川キッチン〉の看板メニュー「十割そば」の一番だしにも「針江の生水」が使われている。

2つ目の鍵は、〈漕人・cogito〉の山根将さんだ。〈cogito〉は高島市内で活動する自家焙煎コーヒーロースター(※)。これまで、飲食店における品質管理や、セミナーなど、コーヒーに関する事業を精力的に展開してきた。〈安曇川キッチン〉の開業当初より、山根さんは「湧き水コーヒー」の豆から淹れ方までをプロデュースしている。

(※)コーヒーの生豆を焙煎し、卸売、小売する仕事のこと。

具体的な取り組みとして、山根さんは〈安曇川キッチン〉で使う「針江の生水」の pH(水素イオン濃度)を計測するところから始めた。pH が高い水は「アルカリ性」、低いと「酸性」、その中間は「中性」と呼ばれる。アルカリ性の水は豆の酸味を消してしまうが、酸性の水も酸味を強く出しすぎてしまう。山根さんは弱酸性の「針江の生水」は時間が経つと弱アルカリ性になることを知った。「大勢が立ち寄る道の駅では、マイルドな味の方がいい」と考え、山根さんは「針江の生水」を 1 日置いてからコーヒーに使う方法を考案した。
さらに、山根さんは「針江の生水」のミネラル含有量にも注目した。ミネラルがやや少ない「針江の生水」は、「軟水」と呼ばれる口あたりの軽い水。軟水でコーヒーを淹れると、豆の酸味が強くなりがちだ。開業当時は酸味を抑えるために焙煎時、豆の加熱時間を長く設定していたという。
試行錯誤を経て、今ではコーヒー豆のブレンドで酸味を調整するようになった。「湧き水コーヒー」の豆の配分は、「オールドスクールブレンド」と呼ばれるもの。華やかな香りのエチオピア産の豆を基調にして、ブラジル産の甘い豆、コロンビア産のコクがある豆も加えている。山根さんはブラジル産の豆の配分を多くすることで酸味を中和し、現在の「湧き水コーヒー」のまろやかな風味へと辿り着いた。

そして、3つ目の鍵は、豆を挽いてできたコーヒー粉を一定時間お湯に漬け込むように淹れる「クレバーコーヒードリッパー」。円錐型の器の中にコーヒー粉を入れた後、お湯を注いでじっくり香り成分を抽出する。レギュラーコーヒーにこだわる、本格志向の喫茶店がこの器具を愛用している。

この3つの条件がそろって「湧き水コーヒー」はできあがるのだという。

最後にはクレバーコーヒードリッパーをカップに取り付けてコーヒー液を落とす。

「湧き水コーヒー」を注文すると厨房では、クレバーコーヒードリッパーにフィルターがセットされ、そこにコーヒー粉が入れられる。そして、このタイミングで 3 分間の砂時計をひっくり返すという。スタッフさんは正確に時間を測りながら、少しずつクレバーコーヒードリッパーにお湯を注ぎ足していく。この時間と分量を厳守することで、山根さんプロデュース「湧き水コーヒー」の豊かな香りがゆっくりと、ドリッパーの中で生成されていく。

お湯を注ぎ終わったところで、お客さんの元へクレバーコーヒードリッパーと空のカップが運ばれてくる。もちろん、砂時計も一緒だ。30~60秒ほど待って砂時計が落ち切ったら、クレバーコーヒードリッパーをカップに取り付ける。そうするとドリッパーの底の弁が開き、少しずつコーヒーの滴がカップに落ちていく。

砂時計が落ち切るまでをワクワクしながら待つのも楽しい。

ドリッパーを取り外した瞬間に、「湧き水コーヒー」は濃厚な香りを放つ。15時以降は+310円でケーキセットにすることもできる。ケーキの種類は時期によって異なるので、スタッフさんに聞いてみよう。

この日のおすすめの一品、冬季限定「自家製りんごと紅茶のシフォンケーキ」。紅茶の香りのケーキに、りんごジャム、ヨーグルト、ミントが添えられる。
秋冬限定の「さつま芋パフェ」(600円)。大学いもとしっとりしたペーストの2種類でさつま芋の味わいを楽しめる。

〈安曇川キッチン〉スタッフ・山本桜子さんにお話しを聞いた。

〈安曇川キッチン〉でメニュー作りや調理に携わる、山本桜子さん。

「『山根将さんの〈cogito〉が手がけてこられたコーヒーはとてもおいしいので、2018 年 4 月にここが開業するときからぜひメニューに加えたかった』と、当時を知るスタッフから聞いています。こだわりのコーヒー豆の香りを『どうすれば香り高いまま、たくさんの道の駅を訪れるお客さまにお届けできるだろう?』と山根さんとお話を重ね、『クレバーコーヒードリッパー』で、お客様自身に淹れてもらう方法を思いつきました」。

〈あどがわキッチン〉では、豆や水、淹れ方にまでこだわったコーヒーを手頃な値段で楽しむことができる。ドリッパーから液体がカップに落ちていく、その時間も含めて「湧き水コーヒー」を堪能しよう。

写真協力:〈針江のんきーふぁーむ〉様

(※注1)ひと:安曇川に特産品を!はなつむぎベリーファーム物語

(※注2)お買い物・グルメ:魚に野菜に近江米 アドベリーに和牛も!

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