道の駅で冬のカフェタイムを!奥河内くろまろの郷のパン&スイーツ
2023.12.15 STATIONS
大阪府河内長野市は東部に金剛山地、南部に和泉山脈が広がり、その面積の約7割を山地が占めている。山々に今年の短かった錦秋の名残をとどめる12月。その里山に位置する〈道の駅 奥河内くろまろの郷〉は、こだわりのベーカリーと地元産フルーツを使ったスイーツコーナーで人気。温かいパンやホットコーヒーに合うお菓子など、冬のカフェグルメが、訪れる人を歓迎してくれる。
〈奥河内くろまろの郷〉は「食べて・遊んで・体験できる」をコンセプトにした道の駅。その施設は飲食店や直売所が集まった「お出迎えエリア」と、植物園や歴史学習館で河内長野市を深く知ることができる「体験エリア」の2つに分けられる。
「お出迎えエリア」にある〈むささび工房〉は、焼きたてパンが毎日並ぶベーカリー。窯から次々に運ばれてくる熱々のパンは地元の人たちの朝食、昼食のほか、ドライバーの軽食としても愛されてきた。
そんな〈むささび工房〉のパンの大きな特徴は2つ。まず、生地に使う小麦は河内長野市産のみ。大和川水系の石川と西除川の最上流部にある河内長野市は、小麦に欠かせない澄んだ水に恵まれている。比較的温暖な気候も小麦の出穂に最適。そのため、河内長野市では昔から上質な小麦を特産品として栽培してきた。その小麦を使用し、市内の家庭ではパンづくりが昔から盛んだ。地場産の小麦にこだわる〈むささび工房〉には、地元の食文化がしっかり受け継がれている。
次に、生地の発酵に天然酵母を使用していること。天然酵母は小麦の繊細な風味を引き出し、焼きあがったパンは噛むほどに旨みを感じられるようになる。
〈むささび工房〉で人気のパンを4種類、ピックアップした。
王道は「クリームぱん」(写真右)。もっちりした生地に包まれているのは、甘さたっぷりのカスタードクリームだ。その原材料の卵は、河内エリアにある〈谷川養鶏〉から届けられているもの。健康管理を徹底された鶏から産まれた卵でつくられたクリームの味はなんとも濃厚。
愛らしいフォルムの「むささびパン」(写真左)にも注目。河内長野市の山中に生息する、小動物・むささびを模した菓子パンだ。お腹にはカスタードクリームが、頭としっぽにはチョコクリームが詰まっていて、三時のおやつにぴったり。
12月の「チーズフェア」で登場したのは、溶けたチーズの香りがたまらない「焼きチーズパン」(写真下)。家に持ち帰ってからレンジで温めなおし、チーズを再びとろけさせるのがおすすめの食べ方だそう。
「レーズンくるみパン」(写真上)は、歯ごたえのある生地がポイント。その中に、ビタースイートなレーズンとくるみがふんだんに入っている。生地の原材料は、小麦の粒をまるごと挽いて粉にした「全粒粉(ぜんりゅうふん/ぜんりゅうこ)」。小麦の表皮や胚芽も粉になっており、ほどよい苦みが味のアクセントになっている。
カフェコーナーには、ティータイムを彩るスイーツがずらり。
秋冬の人気メニューは「和梨タルト」(※)。専属パティシエ・長浜純男(ながはますみお)さんの自信作で、全国道の駅グルメの頂点を決める〈道の駅グルメの祭典・道-1グランプリ〉の2019年大会にて「読売テレビ賞」を獲得している。
(※)好評につき今年の販売終了。
「河内長野特産品の和梨でスイーツを」という長浜さんのアイデアから「和梨タルト」は生まれた。コンポート(※)されて食感がやわらかくなった梨と、サクサクのタルト生地の組み合わせが絶妙だ。自家製カスタードクリームも、和梨の甘酸っぱさを引き立てている。ホットコーヒーとの相性抜群の一品。
(※)果物をシロップや酒で煮込む調理法のこと。
あんずの「フルーツタルト」(写真左)はみずみずしいあんずを贅沢に使ったスイーツ。数多くのあんずをパティシエ自らが試食し、タルトにもっとも合う甘酸っぱい品種を選んだそう。「生クリームロール」(写真右)は、ふわふわのスポンジケーキが印象的。甘さ控えめでさわやかな後味なので、ランチのデザートにもおすすめだ。
副施設長・中川高志さんのコメント
「〈奥河内くろまろの郷〉では、河内長野市の小麦や果物のおいしさを皆様に伝えられるよう、パンやスイーツにずっと力を入れてきました。特に、天然酵母を使った無添加のパンは多くのリピーター様を獲得しています。〈奥河内くろまろの郷〉にお越しいただいた際には、ぜひめしあがってほしいです」。
パティシエ・長浜純男さんのコメント
「ここのスイーツは基本的に私が考えています。新商品のアイデアはまず、河内長野市の新鮮な果物ありき。果物そのものの良さを守りつつ、『どうすればお客さんの関心を引ける見た目になるだろうか』『日持ちする調理法はあるだろうか』といろいろなことを意識して完成させますね。たとえば、『和梨タルト』では梨をコンポートしているのですが、シャリシャリの食感を残したくて火加減を何度も調整しました。その甲斐あって、コンテストの賞までいただけるほどの会心の仕上がりになりました」。
長浜さんは「時間をかけて、丁寧に、少数精鋭の新しくおいしいスイーツを考えて創ることにやりがいを感じています」と言う。
その言葉の通り、〈奥河内くろまろの郷〉は、地元の果実の良さを最大限に引き出し、河内長野市を盛りあげようと奮闘する人たちの努力に支えられていた。オープンテラスから見える山の向こうにも、寒い冬の日に畑で懸命に働く生産者さんがいるのだろう。そんな人々の情熱に思いを馳せると、〈奥河内くろまろの郷〉のカフェスイーツがより愛しく感じられた。
「食べて・遊んで・体験できる」のうち、今回は「お出迎えエリア」にて、「食べて」を満喫した。近日中に「遊んで・体験できる」を担う「体験エリア」もレポートするので、こうご期待!