みちする

駅の楽しみ方:
鴨のごとく
羽を休める湖畔の港

2023.09.20

道の駅がある長浜市西浅井町塩津浜は、琵琶湖の最北奥。どこか北欧の港を思わせる旅情豊かな港町。そんなムードはいにしえからか、道の駅の名にある「あぢかま」とは、塩津を指す枕言葉で、琵琶湖の水辺で冬を越す鴨に由来しているという。 

「あぢかまの塩津を指して漕ぐ船の名は告(の)りてしを逢はざらめやも」(作者未詳/万葉集) 

アジガモの群れが飛ぶ「塩津」を目指して漕ぐ船がその名を告げる様子を、恋人に会わずにいられない心情と重ねた、ロマンティックな古歌も残っている。 

ところで塩津といえば、古くから琵琶湖水運の要港として、また敦賀からの重要な陸路「塩津海道」としてもにぎわった宿場町。さらに、そんな風情が残るレトロな町並みを抜けると、約4万年の歴史を持つ山門水源の森や、3000本の桜並木や竹生島から湖国滋賀の四季を満喫できる「奥琵琶湖パークウェイ」など自然風景にも出合える。 
こうした歴史と自然が周囲にそろう道の駅には、ドライバーのみならず、琵琶湖岸を一周するサイクリングルート“ビワイチ”で立ち寄るサイクリストの姿も。 
湖のゆるやかな波と雄大な山々をすぐそばに感じながら湖北グルメでひと息つけるとあって、今も多くの人の安らぎと観光のスポットになっている。 

施設①:奥びわ湖水の駅 

〈道の駅塩津海道 あぢかまの里〉が道の駅に登録されたのは平成22年のこと。それ以前から存在していた施設が、駅の中心を担う「奥びわ湖水の駅」。中では、湖魚や滋賀の名物などのおみやげや、地元農家による野菜やお米、栽培ハウスで採れたいちごや柿など、新鮮な農作物を販売。お食事処には名物「鴨そば」や「鮒寿し茶漬けセット」、地元の漁師が腕をふるうあゆの甘露煮や刺身用ビワマスなど郷土料理のオールスターもそろう、まさにソウルフードコートのような空間だ。 

 葉野菜など地元の新鮮な農産物をはじめ、近江の羽二重餅やそば、近江牛を使った湖北みやげが幅広くそろう〈奥びわ湖水の駅〉。 

 〈お食事処 魚助〉の「鮒寿し」は、「初めての人でも食べやすい」と評判。木の桶で「鮒寿し」を漬けるこだわりようだ。
〈そば処 鴨そば〉ではぜひ、名物の「鴨そば」を。自然に近い環境で育てられた上質な鴨肉を使用し、川えびのからあげをトッピング。 

施設②パン工房  花里夢(かりむ)

 〈小麦粉で作った生地にご飯を練り合わせた「ごパン」が人気のお店。店内工房からは焼きたての香りが。〉 
〈おみやげには、地元産の野菜が練り込まれた、ふわっふわ、もっちりの「黄紫緑(キラリ)食パン」がおすすめ。〉 
イートインにもなっている2階の「水の駅交流館」。町の歴史資料やミニチュアの展示も。

 施設③水の駅栽培ハウス 

ハウスは全部で3棟。新しい特産品作りに挑んでいる。

 西浅井町の生産者と契約し、いちごやぶどう、いちじくといった果物を実験的に栽培。収穫された果物は道の駅の「生産品販売コーナー」へ出荷。毎年春には、地元の「認定こども園」の年長クラスを招き、収穫体験も催してきた。 

施設④丸子船 

かつて湖上水運の主役であった「丸子船」の実船も観賞できる。記念撮影もOK!

 近隣の歴史ミュージアム「北淡海・丸子船の館」のサテライト展示として、現存する2隻の丸子船のうち1隻を道の駅の中に設置している。そもそも丸子船とは、江戸中期~昭和30年代後半に北陸と畿内を結ぶ琵琶湖水運を担っていた琵琶湖特有の木造の運搬船のこと。“丸子”の名は、半割りにした丸太を胴の両脇に取り付けた構造に由来する。江戸時代に最盛期を迎え、約1,400隻が湖上を往来していたとか。 

丸子船の舳先にあるのは「伊達鎹(だてかすがい)」。この黒い鋼板こそ正統な丸子船のデザイン。

 

「北淡海・丸子船の館」に展示されている丸子船「神與丸」では、胴の丸太をはっきりと確認できる。

 

道の駅周辺の景色 

琵琶湖北岸は風光明媚なドライブコース。春には約3000本の桜並木が沿道に咲き誇る。

 

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