お買い物
丹波をもっと元気に
物産館から地域興し
2023.03.15
物産館には、豊かな自然が育んだ丹波の名産品があふれる。
さらに、有名な食品メーカーとタッグを組んだオリジナル商品の開発にも力を入れてきた。
道の駅と企業、生産者が一丸となって生み出す、おいしいおみやげ。
丹波でしか買えないもので地域を元気にしたいという信念が、この場所には宿っていた。
2022年にリニューアルされた物産館。早形さんに「どんな商品が増えましたか?」と伺うと、「すべて」という回答が。
「直売所も地元メーカーのおみやげやお菓子も、全部がリニューアル前より揃っています」。
道の駅が胸を張る店内、まずは野菜の直売所からご紹介。
根菜はまるまると育ち、葉野菜は茎がしゃきしゃきで、葉がみずみずしい。どれをとっても新鮮。また、「コシヒカリ」をはじめとした地元産のお米も専門コーナーにはたくさん。多紀連山に囲まれ清らかな源流で土が育まれた丹波は、関西有数のお米どころだと改めて感じる。
早形さん、売り場の野菜はどなたが育てているんですか?
「すべて地元の生産部会から出荷してもらっています」。
生産部会とは、生産者さんたちによる地域の組織。地元農家なら誰でも入会でき、出荷できる野菜は厳正な基準をクリアした、フレッシュな野菜だけ。おいしい野菜を求めて市外からもお客さんがやって来る。
「秋はたいへんな賑わいですね。土日には、高速の降り口から道の駅まで渋滞ができることもあります。たくさんのお客さんに来てもらえるのは本当にうれしいですね。特に黒枝豆の人気がものすごいです。荷台で黒枝豆を運んでくるだけで大騒ぎで(笑)。お客さんがあっという間に集まってきて、売り場に並べる前にはもう黒枝豆がなくなってしまいます」と早形さんは嬉しい悩みを打ち明ける。
ただ、それだけ人気だと逆に黒枝豆のオフシーズンが心配だが…。
「確かに黒枝豆の収穫時期は10月~11月ごろに限られます。ですが、おばあちゃんの里では生産部会のみなさんにご協力いただき、6月~11月末ごろまでリレー形式で黒枝豆を入荷できるようになりました。まずは早生品(わせひん)から提供し、徐々に品種を変えていくんです。旬を外れていてもできるだけ長く、お客さんに黒枝豆を買っていただけるように工夫しています」。
そうやって少しでも、お客さんに満足してもらおうとする道の駅の姿勢。同じ努力は、地元メーカーとコラボしたおみやげにもあてはまる。道の駅オリジナルのおかき、あられ、黒豆煮カレーなどは「特産品を使って、新しい名物を作れないか」という願いから生まれた。豆の収穫が少ない時期でもお菓子や保存食品は売り場に入れ替わり立ち替わり並び、丹波エリアの魅力をずっと伝え続ける。
さらに、道の駅の中で毎朝加工されるパンやお惣菜にも、ご当地の食材がたっぷり。
地元を第一に思う道の駅の姿勢は、生産者にも支持されているという。しかし、早形さんは、「そうなるまでが簡単ではなかった」と振り返る。
「道の駅ができてから、地元とのつながりが希薄だった期間も長かったんですよ。でも3年前、野原正章(のはらまさあき)駅長が着任して以来、地元とのコミュニケーションに尽力してきたんです。それで少しずつ関係が改善されて、いろいろなご協力を得られるようになりました」
早形さんは地元の方々に協力してもらう以上、「丹波を元気にする」ことが道の駅の使命だと語る。その取り組みの一環が、売り場に出せない「わけあり作物」を活用した商品企画。
「わけありの作物は販売規格から外れているだけで、味や鮮度は劣っていません。だから、業者さんに作ってもらうお菓子の原材料にするんです。そうやって、植垣米菓株式会社さんとコラボした『黒豆おかき』は生まれました。ほかにも全国的なメーカーさんとのコラボを企画しています」。
生産者と道の駅がお互いを必要としながら魅力的な商品を増やしていく場所が、おばあちゃんの里。地方創世の熱い息吹を、アイデアあふれるおみやげの数々から感じられた。
そんな思いが込められた地元食材を味わうなら、フードコートへ。