みちする

お買い物・グルメ:
山田錦に鹿肉に織物
山の町の良品を発見

2023.08.25

穏やかな瀬戸内気候と山地特有の内陸性気候が混ざり合う多可町は、一年を通して寒暖差が激しい。そのため、稲作には最適の気候だとされてきた。日本一の生産量を誇る「山田錦」の栽培が根づいていったのも、こうした好条件に恵まれたから。また、ありのままの自然が大切にされている地域なので、山に生息する鹿の肉を食べる文化が残っている。
これらの多可町のおいしいものを〈多可〉でじっくりリサーチしてみよう。

〈多可〉のおみやげ①山田錦のお酒

明治時代に多可郡中町(現在の多可町)の豪農、山田勢三郎が稲の一種「山田穂」を発見したことが「山田錦」の発祥との逸話が残されている(諸説あり)。「山田穂」と「短稈渡船(たんかんわたりぶね)」を交配させて生まれたのが「山田錦」。その史実にちなみ、多可町は「日本酒で乾杯の町」を宣言し、「山田錦」で作られた日本酒を広くアピールしてきた。〈多可〉の日本酒コーナーに置かれている瓶の大半も「山田錦」を使用。甘く深い風味があるとされる、「山田錦」の酒を、豊富な種類の中から選べる。

〈福光屋〉の純米大吟醸はすっきりとした余韻で飲みやすい。
「山田錦」と「金紋錦」で作られるまろやかな「黒帯」シリーズは食中酒におすすめ。

〈多可〉のおみやげ②サブレ・ガレット

和風の上品なパッケージが目を引くサブレやガレットは、〈多可〉を代表するおみやげ。まず、「たか結び」は道の駅、京都橘大学、食品メーカーが共同開発した香ばしいサブレだ。「おむすび」をテーマに、多可町産有機「山田錦」の米粉を3種類のフレーバーに仕上げた。「焼きおにぎり」「青のり」のほか、アーモンドやかぼちゃ、にんじんの味付けがされた「野菜」を楽しめる。
次に、お米そのもののおいしさにこだわった食品づくりを手掛ける〈田田田堂(たたたどう)〉のアソート缶2種類も道の駅で人気。グルテンフリーで米の甘さを感じられる「山田錦サブレ」、やわらかな口どけのリッチな食感が忘れられなくなる「山田錦ガレット」、いずれもギフトにおすすめだ。

米粉独自のサクサク感が満載の「たか結び」。
〈田田田堂〉のサブレとガレットは、アソート缶のシンプルなデザインも美しい。

〈多可〉のおみやげ③地元の醤油

大正10年から北播磨で営業を続ける「高橋醤油」の商品が、〈多可〉には勢揃い。その醤油「サクライズミ」シリーズは、但馬や播磨エリアにおける食卓の定番品だ。もろみを搾ったうえで、炊き上げて香りを高めている「サクライズミ」は昔ながらの醤油の味。余計な製造工程を省き、大豆本来のやさしい香りが瓶に詰まっている。雑味がないので、刺身から焼き魚、煮物まで、いろいろな料理に合うのも支持されてきたポイント。

〈多可〉のおみやげ④とりめし

たっぷりの鶏肉をごぼうやにんじん、こんにゃくなどと炊き込みご飯にした関西の郷土料理が「とりめし」。町内で活動する「みつばグループ」の缶詰は、「とりめし」を初めて味わいたい人にぴったり。缶から取り出してレンジで熱し、あたたかいご飯と混ぜるだけで、食欲をそそる炊き込みご飯のこうばしい香りが漂ってくる。そのほか、鶏肉のみを具材にした「こっこめし」、おかずやおつまみ用の「とりつま味」などのバリエーションがあるのもうれしい。

〈多可〉のユニークなおみやげ①鹿肉のペットフード

完全無添加ペットフードブランド「TASHIKA」の商品が、〈多可〉では知る人ぞ知る名物になっている。その原材料に使われているのはタンパク質たっぷりで、ワンちゃんにとって栄養バランスが良いといわれる鹿肉。もともと多可町では野生の鹿絡みの獣害や自動車事故が問題になっていた。廃棄するしかなかった鹿肉を再利用し、「課題解決型ドッグフード」として登場したのが「TASHIKA」。適度な噛み応えがあるうえ無添加で、ワンちゃんの健康にも配慮されている。

〈多可〉のユニークなおみやげ②「播州織」のアパレル

〈多可〉のアパレルコーナーには北播磨の伝統工芸、「播州織」の作品が多数置いてある。「播州織」はあらかじめ染め上げた綿糸で繊細に作られる「先染め織物」であり、肌触りが心地よいので薄手の衣服に向いている。特に、ブラウスやワンピース、ショールなどのレディースファッションにはぴったり。
さらに、多可町をチェック柄で表現した「タカタータン」について特筆したい。「タータン」とはもともとスコットランド「タータン地方」発祥の織物の名称だが、今ではその特徴をもったチェック柄のことも指す。本国では赤と黒と混合色の3色が「タータン」の基調だとされてきた。それに対し、「タカタータン」は多可町のシンボルカラーの緑、黄緑、赤に、水色、黄、白を加えた6色で構成されている。「播州織」によって生み出される正当なタータンチェック。その鮮やかな「タカタータン」のバッグやぬいぐるみが、道の駅で注目を集めている。(※)

※「スコットランド・タータン登記所」にも登録許可された「タカタータン」は正真正銘の「タータン」の系譜。

おまけ

こちらは「たか結び」とは別の「多可むすび」。地元産ヒノキを削ってできた、すべすべの木の卵。

ショッピングの次に気になるのは地元グルメ。〈多可〉では「山田錦」や鹿肉を向かいの〈おむすびキッチン夢蔵〉で存分に味わえる。

〈多可〉のグルメ①「山田錦うどん」

山田錦うどん 650円。

〈夢蔵〉が〈多可〉ならではの味にこだわって生み出したランチメニュー。「山田錦」の米粉で打った麺で作られたきつねうどんだ。シコシコとした麺の食感が特徴的。コシが強いので時間を置いても麺が伸びず、最後の一口まで心地いい弾力を堪能できる。

〈多可〉のグルメ②鹿丼

鹿丼 800円。

山中に位置する多可町には野生の鹿が多数生息している。その肉は身が引き締まっており、高カロリー、高タンパクの栄養食として住民に愛されてきた。道の駅で食べられる「鹿丼」は、鹿肉を甘辛に調理してご飯の上に盛り付けた一品。肉のクセが消え、ごぼうやこんにゃく、ねぎなどの具材とマッチしている。鹿肉をあまり食べたことがない人にもおすすめ。

「鹿丼」の素も「夢蔵」店内とおみやげ売り場で販売されている。

〈多可〉のグルメ③おむすび弁当

おむすび弁当 550円。海苔とこんぶのおにぎりを中心にした、食べきりやすいボリューム。
おかずは、つくね、玉子焼き、生野菜、磯部揚げ、漬物、フルーツ。

食べ物も酒もアパレルも、共通しているのは「この地域で生まれた良品」だということ。エリアの魅力と、どこかなつかしい小さな道の駅の楽しさを〈多可〉で存分に体感してほしい。

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