みちする

どんな駅?:
鯖街道の起点に立つ
湊町の玄関口

2023.10.30

舞鶴若狭自動車道〈小浜 IC〉すぐそばに建つ道の駅〈若狭おばま〉。ここは昔の「若狭国」 にあたる福井県の南西部。古代から平安時代にかけて朝廷に食を献上していた「御食国(みけつくに)」 の一つだったエリアだ。そんな歴史の中で、海陸両方の交通網が発展。若狭国から京へは海産物や米、酒を。一方で、京から若狭国へも食や工芸などさまざまな文化が伝わり、街道沿いの港や宿場町が栄えてきた。なかでも京で珍重されたというのが若狭湾で獲れる鯖。若狭からはるばる京まで、保存のために塩漬けにして運ばれた鯖は、京に着く頃、絶妙な味わいに。「鯖街道」と呼ばれるようになったのもそのせいだとか。 
やがて、若狭国の海産物はそのおいしさから「うましもん」と称され、鯖寿しやぐじ(甘鯛)などの京料理に大きく影響を与えたそうだ。 そんな歴史背景を持つエリアにある〈若狭おばま〉には、鯖や鯛、わかめなどの海の幸はもちろん、地酒や甘味、味噌や醤油など、かつての食文化を受け継ぐ特産品が盛りだくさん。さらにテイクアウト中心のフードコート〈小浜 pocket〉のメニューも2023年3月のリニューアルで一新。ドライバーたちのひと休みにぴったりな軽食やおやつが充実し、巨大な“鯖のれん”をくぐると「御食国(みけつくに)」かつ「鯖街道」起点の道の駅らしいワンダーランドが待ち受ける。 

〈物販館〉

〈若狭おばま〉のメインといえる〈物販館〉。そこでまず目を引くのは、鯖缶や醬油干し、鯖寿しなど鯖関連の商品の多さだ。鯖缶や醤油干し、鯖寿しなどのそうした定番品に加え、へしこをイタリアン風ソースにアレンジした「へしこバーニャカウダ」も人気。鯖のほかにも、道の駅オリジナル品の充実ぶりに驚かされる。「もみわかめ」「ふぐひれ」「根昆布だし」などはすべて、若狭湾で獲れる海産物を原材料にしているのが特徴だ。

お酒や醤油のコーナーにも、〈小浜酒造〉〈千成屋醤油店〉をはじめとした地元の蔵の品々が並ぶ。一方で、高校生が開発した“宇宙日本食”である「若狭宇宙鯖缶」もあり、小浜市ではさまざまな世代が特産品を生かした食品づくりに関わっていることをうかがえる。

店内には、小浜を代表する伝統工芸品「若狭塗箸」がずらり。小浜市は食に欠かせない「塗箸」生産量が全国一位。日本の「塗箸」の約8割は小浜市産だとされる。中でも江戸時代から伝わる「若狭塗」の技術を応用した、美しい「若狭塗箸」はおみやげで人気が高い。砂をイメージした金銀箔や貝の装飾など、海のまちならではの職人の手法が光る。元アメリカ大統領、バラク・オバマ氏に進呈されたこともある「若狭塗箸」の精巧な美しさを目の当たりにできる機会だ。

若狭塗箸職人の技を映像でご紹介。熟練職人の繊細な手仕事に、思わず見入ってしまいそう。 
「若狭塗箸」を使って豆つかみ!うまくつかめたら記念撮影をしてみよう。

〈小浜pocket〉

〈若狭おばま〉内の軽食店〈小浜pocket〉。「『美味しい』をポケットに詰め込んで」が店のテーマで、買い物やドライブの休憩中にサクッと食べられるメニューが人気だ。スタッフのイチ押しは、鯖のピタパンサンドとフライドポテトを組み合わせた「醤油香る鯖pocketと自家製ポテトセット」。そのほか、近隣の高浜町のいちごとヨーグルト、牛乳をミックスした「Ichigoラッシー」も、ほどよい甘酸っぱさ。

ピタパンサンドやラッシーを持って、屋外のテーブルへ。砂浜のような白い石畳がまぶしくてリゾート気分になれる。

駅長の言葉

青木駅長は「鯖や塗り箸には大きなスペースを確保しているのは、小浜市が誇る特産品を広く知ってほしいからです」と言う。

青木美昭(よしあき)駅長は〈若狭おばま〉を盛りあげることで、「小浜市を一流の観光地にするために貢献したい」という目標を掲げている 。
「お客様に小浜市の魅力を知ってもらえるよう、〈若狭おばま〉では地元の良品をそろえることに努めています。リニューアルして売り場面積も約1.6倍と広くなったので、これからもどんどん地場産品を増やしていきたいですね」。

〈物販館〉と〈情報館〉をつなぐ廊下は江戸時代の鯖街道の雰囲気を演出。

青木駅長の言葉通り、2023年3月には全面改修し〈物販館〉と情報コーナーが広くなった〈若狭おばま〉。このリニューアルを機に、掲げられた道の駅のコンセプトは「鯖街道ワンダーランド」だ。店内の至るところでレベルの高い「うましもん」や、おしゃれな伝統工芸品、楽しい仕掛けなど、「ワンダー!」な鯖街道の光景が広がっていた。

地域の良品が盛りだくさんで、来る人を驚かせて「また来たい」と思わせる〈若狭おばま〉はまさに「ワンダーランド」だった。

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