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お買い物・グルメ:
小浜を好きになる
海産物や酒、甘味

2023.10.30

「日本海側の玄関口」と呼ばれることもある小浜市。それは昔、政治や商業の中心だった京や大阪、奈良の人たちにとって、もっとも近い日本海側の湊町だったからだ。 
そんな立地から小浜と京都を行き交う行商が発達。そのため小浜には、新鮮な海鮮類と、旅路でも保存が効くようにと工夫された加工食品も持ち込まれ、どちらもが特産品に。〈若狭おばま〉ではその両方に出合える。 

おすすめのおみやげ①鯖

〈若狭おばま〉の〈物販館〉には若狭湾で獲れる鯖を使った、さまざまなおみやげが集められている。「へしこバーニャカウダ」はへしこのくせになる塩辛さを手軽に料理に取り入れられる一品だ。イタリアの郷土料理に使うソース「バーニャカウダ」を、鯖のへしこ、にんにく、オリーブオイルの組み合わせで若狭流に仕上げている。隠し味の牛乳がコクを、黒コショウがほどよい辛みを加えており、パスタやサラダに使うほか、 パン、クラッカーにディップしても美味だ。

商品にまつわるエピソードを知ると、〈若狭おばま〉の鯖食品をより深く楽しめる。たとえば、「若狭宇宙鯖缶」。福井県立若狭高等学校海洋科学科の生徒たちが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が定める“宇宙日本食”を目指し、試行錯誤の末に完成させた保存食だ。栄養、保存性、味などが細かく決まっている“宇宙日本食”の条件をクリアするためにかかった年月は、実に13年。その努力が実り、「若狭宇宙鯖缶」は2018年に〈JAXA〉から認証を受け、正式に“宇宙日本食”となった。

「若狭宇宙鯖缶」は味覚が鈍る宇宙でもおいしく食べられるよう、濃い醤油味に仕上がっている。

〈若狭おばま〉の特設コーナーにはオリジナルの「若狭宇宙鯖缶」と一緒に、企業とコラボし、より食卓向けにレシピを調整したタイプも。「若狭宇宙鯖缶」の関連書籍も用意されているので、高校生たちが紡いだ感動のストーリーを、商品と本の両方で追体験できる

文化庁の「100年フード」に認定された、「若狭おばまの醤油干し」も地元の人たちに愛されてきた味。小浜市に古くから伝わる「醤油干し」は鯖や小鯛、あじなどの地魚と醤油のうまみを醸成し、保存性も優れている。戦後、醤油の流通量が増えてからはますますポピュラーな加工食品になった。そんな湊町のソウルフードを、〈若狭おばま〉では鯖中心にPRしている。

「若狭おばまの醤油干し」は、古くから続く加工技術を評価され、文化庁による「100 年フード」に認定された。

おすすめのおみやげ②酒・調味料

〈若狭おばま〉は若狭地方の酒づくり、醤油づくりなどの昔ながらの食文化を応援している。たとえば、小浜市唯一の酒蔵〈小浜酒造〉もそのひとつ。特集コーナーを設け、純米吟醸「わかさ」をPRしている。小浜市はもともと酒づくりが盛んな地域だったが、平成に入り、日本酒市場は大幅な縮小を始める。地方の酒蔵は大手メーカーに圧される形で厳しい状況へと追いやられた。小浜市でも地元酒造は次々に閉鎖。〈小浜酒造〉は酒づくりの歴史を守るため、2016年に市内で最後の酒蔵だった〈わかさ富士〉から事業継承に踏み切った。フルーティーで爽やかな甘みのある「わかさ」は〈小浜酒造〉の代名詞的な日本酒であり、「ルクセンブルク酒チャレンジ2022」の「純米吟醸部門」で最上位の「プラチナ賞」を獲得するなど、海外でも高く評価されている。

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そんな〈小浜酒造〉は大量生産を行わず、1瓶1瓶に職人の矜持を込める酒づくりにこだわっている。市外の酒屋ではなかなか見かけない〈小浜酒造〉の上質な日本酒を、〈若狭おばま〉でチェックしてみてほしい。

コンクールで賞を獲得して以降、海外での需要も高まった「わかさ」。

調味料では、1932年創業の若狭地方で唯一の醤油蔵〈千成屋醤油〉に注目だ。その商品の大きな特徴は手づくりの「もろみ」にある。大豆と大麦でできた「醤油麹(しょうゆこうじ)」を塩水で仕込んで生まれるもろみは醤油だけでなく、日本酒やみりん、味噌などの原材料になる。〈千成屋醤油〉では半年から1年かけてもろみを熟成させ、生醤油をつくってきた。素材のうまみが凝縮された自然派の醤油は、県内外でリピーターを増やし続けている。

さらに、大豆そのものの風味を味わえる「醤油屋もろみ」シリーズも人気。ゆずや山椒などのバリエーションがあり、ごはんの供にぴったりだ。

醤油の大元であるもろみの味は濃厚で、白米が進む味だ。

小浜では湊町ならではの魚醤(ひしお)も馴染み深い。なかでも、〈小浜海産物株式会社〉の「雲丹醤(うにひしお)」はパスタやサラダに使いやすく加えるだけで贅沢な風味になると評判。濃厚なうにのうまみが料理を引き立てる調味料だ。

豆と麦の麹からできる醤のコクが、うにのクリーミーさにマッチしている。

道の駅オリジナル商品「根昆布だし」は、北海道産の昆布に小浜市の塩と鯖エキスをミックスして仕上げた万能の一本だ。昆布でもっとも栄養価が高いとされる根からだしをとっているので芳醇。お吸い物や煮物のほか、炊き込みご飯に使うのもおすすめだ。

〈若狭おばま〉でダントツの人気を誇るおみやげ「根昆布だし」。店頭で買えるのは日本中でここだけだ。

おすすめのおみやげ③甘味・スイーツ

〈若狭おばま〉オリジナルの和菓子「ひとやすみ羊かん」は、「かわいくて写真に撮りたくなる」と若者の間で人気になった。一口サイズの食べやすさと、白ザラ糖をまぶしたまろやかな甘さもポイント。そのネーミングの由来はやはり鯖街道に。「鯖街道を行き来していた昔の旅人が、休憩所でひとやすみするときに食べる羊かん」をイメージして、〈若狭おばま〉が小浜市の老舗菓子店〈志保重〉と一緒に作りあげた。
そもそも福井県民は「冬はこたつでみかんやおしるこではなく、羊かんを食べる」と言われるほどの羊かん好き。その理由は、京の和菓子文化が鯖街道を通って福井県に伝わったからだとされる。サイコロ状でパクっと食べやすい「ひとやすみ羊かん」を、道の駅で堪能してみてほしい。

青木駅長も驚いたほど、「ひとやすみ羊かん」への反響は大きかった。
バニラ香る「若狭おばまプリン」も道の駅オリジナル。ほろ苦いカラメルを絡めた「プレーン」と若狭湾の塩が付いた「塩」の2種を用意。
市内のパン屋さん〈ブランジェリーOKAMOTO〉のクリームパン。やわらかい生地ととろけるカスタードクリームが絶妙で土日は売り切れ必至。
スキマ時間に味わえる、コンパクトなサイズのお菓子が多いのも〈若狭おばま〉の特徴だ。

そのほかにも、若狭の恵みがおいしいおみやげになって、道の駅の売り場をにぎわせている。

灰干しにされた鯛やかれい、へしこのなれずしなど、若狭の漁師の知恵から生まれた食品がよりどりみどり。
地元漁師が養殖したわかめを手もみして乾燥させた「もみわかめ」。味噌汁にはもちろん、ごはんやパスタにふりかけるだけで磯の香りが加わる。

小浜pocketのメニュー①醤油香る鯖pocketと自家製ポテトセット

醤油香る鯖pocketと自家製ポテトセット 1,000円。

小浜市の郷土料理である鯖醤油干しを竜田揚げにして、ピタパンで挟んだサンド。その隣にフライドポテトを盛り付けた洋風のお弁当が「醤油香る鯖pocketと自家製ポテトセット」だ。鯖と一緒にサンドの具材になっているのはにんじんのラぺ、揚げブロッコリー、赤たまねぎのピクルス、トマトときゅうりのマリネ、サニーレタス。ピタパンのポケット(pocket)に詰め込まれた、ジューシーな竜田揚げとシャキシャキ野菜の絶妙なバランスがたまらない。ディップソースは、隠し味に牡蠣が使われているマヨネーズで。

小浜pocketのメニュー②obamaフィッシュ&チップス

obamaフィッシュ&チップス 1,000円。イギリスでは非常にポピュラーな料理を、若狭の鯖の竜田揚げでアレンジ。
自家製ケチャップは酸味が効いていて、竜田揚げとの相性が抜群だ。
福井県高浜町産のいちごでできた「ichigoラッシー」(600円)。食後にぴったりなさっぱり風味。
爽やかな香りの若狭梅を使った炭酸ドリンク「wakasaumeスカッシュ」(400円)は、酸味の中にも甘みがある。

〈若狭おばま〉のおみやげや食を通して青木駅長は「まずは小浜市のものを好きになってほしい。次に、若狭地方の良さを知ってほしい」と言う。そのために、〈若狭おばま〉では地場産の生鮮を親しみやすいビジュアルの缶詰やスイーツにして、訪れた人たちの興味を引いている。道の駅で絶え間なく生まれるアイデアとエネルギーに触れることで、1千年以上も前に若狭国から京を目指して旅していた行商人たちの姿が目に浮かんできた。若狭国の先人の果敢さ、ひたむきさは〈若狭おばま〉で現代に引き継がれている。

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