みちする

グルメ:
伝統をアレンジ
温故知新の郷土の味

2023.04.13

みきの1階にある飲食店「和食レストラン 麺坊はりまや」では、
伝統料理や名産品がアレンジされている。
まるで過去に遡って、三木の鍛冶職人の食生活を覗いているよう。
かつて鍛冶屋で愛されてきた味が、ここで現代風に蘇る。

「和食レストラン 麺坊はりまや」で食べられる三木ならではの味といえば、「鍛冶屋鍋グルメ」。鍛冶屋鍋とは元来地元の鍛冶職人が好んだとされる、金物の鍋で作られた煮物のこと。
明治・大正期に生まれた鍛冶屋鍋のレシピは一般家庭にも広まり、三木市内の郷土料理として発展した。家庭によってアレンジはあっても、ナスとタコという具材は共通している。このレシピには意味があるのだろうか?店長の岡本俊介さんが答えてくれた。

「鍛冶屋鍋は本来、夏場のスタミナメニューだったんです。仕事の合間で、鍛冶職人が精をつけるために食べていました。ナスやタコは力の源になるとされており、熱い季節にぴったりだったんです」とのこと。

水分とカリウムを多く含むナスは、火照った体を冷ましてくれる夏野菜。そして、タコにはビタミンや鉄分が豊富だという。100年以上も前に生きていた職人たちはこれらの食材でパワーチャージしながら、夏真っ盛りの鍛冶場を乗り越えていたのだろうか。今でいうならサラメシ。仕事の合間に鍋をつつき、その味わいを皆で分かち合いひと息ついた様子が目に浮かぶよう。

道の駅では、「カレー」「天丼」の2品で鍛冶屋鍋の味を再現している。人気の「鍛冶屋鍋カレー」は高温を保てる金物の特性を最大限に生かしたメニュー。

調理にも鍛冶屋鍋が使われていて、熱々のままテーブルに運ばれてくる。サラダとお新香付きで1,250円。

鍛冶屋鍋は保温性抜群で、熱々のカレーと揚げナスが見事にマッチ。ジューシーなタコの唐揚げも、ルーの辛さに合う。具材があえて細かくカットされているのは食べやすく、見た目も美しいように。

「鍛冶屋鍋天丼」は、散らした海苔が良い香り。天ぷらはサクッと揚がっており、ナスはふわふわ、タコはコリコリで違った感触を楽しめる。

後から生卵を潰して混ぜれば、ビビンバのように濃厚な味わいになって二度おいしい。味噌汁とお新香付き1,290円。
鍋の底のごはんはパリパリのおこげに。やみつきの香ばしさで最後の一口まで飽きさせない。
観光センターに並ぶ道の駅オリジナル商品「かじやカレー」で、レストランの味を家でも楽しめる。
岡本店長は「三木市の特色を出せる料理を中心に」を心がけて、メニューを考えている。

地元ならではのメニューとしては、「山田錦みそラーメン」にも注目。スープには地元の彩雲加工グループのお手製、「山田錦味噌」が使われている。「山田錦」でできた麹をベースにして、丹波黒豆や白大豆、自然塩をブレンド。甘口で、香りも豊かな味噌がスープにコクをもたらす。

脂っぽさを抑え、味噌そのものの風味を楽しめるラーメン。1杯800円。

さらっとのど越しもよく麺がすすむ、優しい味。まろやかな味付けの上品なラーメンだ。

地元農家の末広さんが作るサツマイモ。販売所で人気になり、レストランメニューに取り入れられたとう。

みきのスイーツにも「山田錦味噌」は登場。「山田錦みそソフト」は、入口脇の「みきや」窓口から注文できる。

味噌が入ってバニラがほのかな褐色に。1本330円。

ソフトクリームに味噌とはちょっと意外な組み合わせ。ところが食べてみれば味噌の甘みが口の中でキャラメルのように広がり、自然にバニラと溶け合って絶妙。すっきりした甘さの「山田錦味噌」は食後にぴったり。

金物と「山田錦」。三木市が世界に誇る2つの伝統を、みきはグルメで伝える。いずれの料理も驚きに満ちあふれ、懐かしさ以上に新しさを感じさせる。まさに温故知新。そういえば、鍛冶の世界では鉄と鋼をくっつけることを「鍛接」と呼ぶらしい。道の駅のレストランでは、過去と現代のおいしい魅力が見事に鍛接されていた。

レストランにも使われていた「三木金物」を伝える人たちの姿はこちらから

予約のみで注文できる「団体様向けのメニュー(1,380円)」では、鍛冶屋鍋でポークを焼きながらいただく。
レストラン従業員のみなさん。そのチームワークが忙しい毎日を支えている。
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