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「二郎いちご」が人気!〈神戸フルーツ・フラワーパーク大沢〉の「いちごサーカス」レポート

2024.03.20 FOOD

神戸市北区(通称:北神)大沢町にある〈道の駅 〈神戸フルーツ・フラワーパーク大沢(以下、神戸FFP)〉は農家さんと連携しながら、地元農産物を積極的にPRしている。そんな〈神戸FFP〉で2月11日(日)に、「いちごサーカス」が初開催された。これは北神産を中心とした旬のいちごを楽しんでもらうための、いちご農家中心のお祭りだ。

当日朝の〈大沢IC〉付近は大渋滞。ほとんどの車が「いちごサーカス」に向かっているところ。

「いちごサーカス」の会場は、〈神戸FFP〉の農産物直売所〈FARM CIRCUS〉前。キッチンカーやワークショップのテント、大量のいちごを乗せた軽トラックなどが通りにずらりと並んだ。北神のいちごは真冬から春にかけて収穫されるので、イベント当日は旬まっさかり。生産者さんによるいちごのパック売りには、イベント終了まで長蛇の列ができた。このにぎわい、まさにサーカスだ。

親子での参加が目立った、いちごクッキーのワークショップ。

なぜ、北神ではいちご栽培が盛んで、お客さんからも人気なのか?
その理由は「気候」「六甲山の湧き水」「恵まれた土壌」による、上質な農法にある。まず、いちごは寒さに強く、低気温でゆっくり育つほど糖度が高まっていく。山地である北神は平均気温が低いため、気候がいちご栽培に適している。
次に、北神にそびえる六甲山の湧き水は、清浄でミネラルも豊富。環境省「名水百選」に選ばれた神戸市内の〈布引渓流〉も、六甲山に源を発する。北神の農家では六甲山から流れてきた水を田畑に引いており、そこで健やかに育った農作物は味も香りも際立つ。
さらに、北神の土には山地特有の花崗岩が混じっている。花崗岩には細かい穴がたくさん空いていて、水はけに優れる。そのため、北神の果物は地面から水分をたっぷり吸い上げ、甘く大きな実をつける。

「いちごサーカス」で注目を集めた「二郎(にろう)いちご」(※)。「二郎」とは、北神の二郎地区のこと。このエリアは大正時代から100年以上にわたりいちごづくりを続けており、栽培方法に強いこだわりを持つ。「二郎いちご」を名乗れるのは、3年以上の修業期間を経て、地域の「いちご部会」全員の了承を得た生産者さんがつくるものだけ。土耕栽培をはじめとする昔ながらの農法で、「二郎いちご」はどれも丁寧に育てられている。また、もみ殻中心の自家製堆肥、北神特製のいちご用配合肥料を畑にまいているのも「二郎いちご」の特色だ。
甘みと酸味の絶妙なバランス、サイズの大きさに加え、「二郎いちご」はジャムやジェラートなどにも使いやすい。しかも、価格も手ごろ。いいことづくめの「二郎いちご」は北神を代表する果物のひとつだ。

(※)「二郎いちご」は品種名ではなく、二郎地区で高い基準を満たしながら栽培されたいちごの通称。なお、「二郎いちご」としてさかんに育てられている品種は「章姫(あきひめ)」「紅ほっぺ」など。

現在の二郎地区は観光農園が中心になっているが、〈神戸FFP〉をはじめとするわずかな直売所には出荷も行っている。

「二郎いちご」の多くは、「章姫」が占める。「章姫」は美しい円錐型のシルエットとやわらかい果肉が特徴。酸味が控えめで食べやすい品種だ。「いちごサーカス」に運ばれてきた朝採れの「章姫」は、あっという間に売り切れてしまった。

〈Yan Yan FARM〉の「章姫」。
〈白木農園〉の「章姫」。

キッチンカーでは、〈LaNtANa〉が好評。〈LaNtANa〉はふだん、元町通で営業しているクレープ専門店だ。看板メニューは「THE RED」。国産小麦と焙煎した玄米粉、豆乳でつくったクレープ生地で、兵庫県内で自社栽培している(※)大きないちごと生クリームを包み込んでいる。果実本来の甘酸っぱさを堪能できる贅沢なスイーツに、多くのお客さんが舌鼓を打った。

(※)「章姫」「おいCベリー」「紅ほっぺ」の3種類を栽培。

「THE RED」は「シングル」と、いちご2倍の「ダブル」、3倍の「トリプル」の3種類。
「THE RED トリプル(1,000円)」。

「いちごサーカス」を取材した一日、大量のいちごを手売りしていた農家さんの熱気がとても印象的だった。そもそも、このイベントは農家さんからのリクエストに応えて、〈神戸FFP〉が企画したのだという。〈神戸FFP〉内の農産物直売所〈FARM CIRCUS〉の江崎さんに開催までの経緯を聞いた。
「もともと〈神戸FFP〉では、トマトの大規模なマルシェ『トマトサーカス』に力を入れてきたんです。それを見たいちご農家さんから『自分たちもやりたい』というお声をたくさんいただきました。私たちスタッフも北神産をはじめとしたいちごの良さをもっと発信したいと思っていたので、今回の『いちごサーカス』が実現しました」

〈FARM CIRCUS〉では、いちごそのものだけでなく、いちごのオリジナルスイーツも充実。

「いちごサーカス」の後も、いちごのシーズンは春まで続く。農家さんが丹精を込めて育てた採れたての「北神いちご」を買うなら、品種も数も豊富な〈神戸FFP〉に行こう。

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