駅の楽しみ方:
但馬名物がそろった
現代のまほろば
2023.11.02
〈但馬のまほろば〉は兵庫県朝来市を通る北近畿豊岡自動車道「〈山東PA〉内にある道の駅。ここは「播磨地方と日本海」をつなぐ南北の道、「丹波地方と但馬地方」をつなぐ東西の道が交わる兵庫県のほぼ中心部だ。朝来市には日本海側の稲作文化が普及した一方で、ブランド和牛「但馬牛」が神戸市や姫路市といった都市部に出荷されて人気になるなど、兵庫県が誇る良質な農畜産業の拠点になっている。また、生野鉱山が開かれていた明治時代には物流経路を確保するために「銀の馬車道」と呼ばれる日本初の高速産業道路が築かれた。朝来市は鉱員たちや道路工事の作業員たちに支えられ発展した、力強い開拓精神が今もなお宿るエリアだ。
そんな朝来市にある〈但馬のまほろば〉は、2005年に道の駅に登録された。ここの大きな特徴は、コシヒカリ、岩津ねぎ、朝倉山椒などの但馬名物の品ぞろえ。そして当然のことながら、精肉コーナーではブランド和牛「但馬牛」を中心に販売しており、駅の中のレストランで堪能することもできる。地場産品を積極的にPRし、但馬地方の盛りあがりに貢献している〈但馬のまほろば〉。その姿勢が評価され、2015年には国土交通省から重点「道の駅」に認定された。
〈但馬のまほろば〉は国指定史跡の〈茶すり山古墳〉、「天空の城」こと〈竹田城跡〉や日本遺産認定〈史跡生野銀山〉などにも近く、バスツアーの休憩所としてもおなじみ。これらの観光スポットにちなんだおみやげを買えるのも魅力だ。
土産・農産物コーナー
朝来市の農産物を中心に、酒、味噌、醤油、パンまで幅広販売しているのが〈土産・農産物コーナー〉だ。春にはキャベツ、夏にはピーマン、朝倉山椒、秋には新米や黒豆、冬には岩津ねぎと、年中、但馬地方の特産品が並ぶ。その充実したラインナップの理由は、朝来市の生産者さんたちの集まり「産直の会」としっかりと結びついているから。道の駅と「産直の会」は頻繁にコミュニケーションを取っていて、品揃え、質ともに充実している。だから、いつ来てもお客さんは新鮮でおいしい、季節の朝採れ野菜を手に取ることができるのだ。
おみやげのエリアには、岩津ねぎ、朝倉山椒、但馬牛などの関連食品がずらり。食卓で使いやすい瓶詰やふりかけなどのほか、ハヤシライスやカレーなどのレトルト類もバリエーション豊か。
但馬牛精肉コーナー
〈但馬のまほろば〉では、〈但馬牛精肉コーナー〉でA4~A5クラスの「但馬牛」を買えることで有名だ。「但馬牛」とは兵庫県内で生まれ、厳しい定義にあてはまる生後28か月以上から60か月以下の牛のこと。上質なサシ、引き締まった肉、濃厚な甘みなどで知られ、海外にも愛好家が多い。ここには、特大のサーロインのほか、すき焼きやしゃぶしゃぶ、焼き肉用などの「但馬牛」置いている。
茶すり庵
〈茶すり庵〉はランチタイムが賑わう道の駅のレストラン。かつては手頃な価格で食事を楽しむ場所だったが、2023年7月、大胆にリニューアル。ステーキやハンバーグなどの、高級感あふれる「但馬牛」メニューをオーダーできるお店に生まれ変わった。熱々の鉄板に乗って運ばれてくる「但馬牛」を目当てに、〈但馬のまほろば〉を訪れる人も多いそう。
フードコート
ドライバーが気軽に立ち寄れる〈フードコート〉では、食券機でスムーズに注文できる。岩津ねぎがたっぷり入ったラーメン、「但馬鶏」の肉を使った親子丼などがおすすめ。兵庫県但東町栗尾産の絶品卵「クリタマ」による卵かけごはんも、朝食に親しまれている。
道の駅スタッフさんの言葉
販売部の河見孝さんは「普通のお店よりもスタッフとお客さまの距離が近いのが、〈但馬のまほろば〉のいいところ」と答えてくださった。
「僕自身、なるべく売り場に立ってお客さまとコミュニケーションをとるようにしています。うちのいい部分も悪い部分も、お客さまに教えられてきました。野菜や肉について、ご家庭での食べ方を教えてもらうこともあります。おすすめ商品に、レシピ、旬の農産物の入荷時期など、気軽に私たちスタッフにお声がけしていただければ、なんでもお答えします」。
〈但馬のまほろば〉という名称は近くの〈茶すり山古墳〉に由来しているそう。「まほろば」は古墳時代に使われ始めた古語で「すばらしいところ」という意味。地域の上質な農畜産物が集まり、地元の人たちからも観光客からも愛されているこの道の駅はまさに現代の「まほろば」だ。
朝来市埋蔵文化財センター「古代あさご館」