買い物・グルメ:
知る・買う・食べる
北神の美味と戯れる
2023.07.20
北神の朝採れ野菜やフルーツの豊富さを知って、驚いてほしい。また、そのおいしさを通して、地域に興味を持ってほしい。そんな〈神戸FFP〉の精神は〈ファームサーカス〉のスローガン「地産地消をあそぼう!-Fun to eat local!-」に込められている。百聞は一見にしかず。〈ファームサーカス〉で旬の農産物をたっぷりと堪能してきた。
農産物直売所とおみやげどころを兼ねる〈ファームサーカス・マーケット〉のドアを開けば、カラフルに並んだトマトやいちご、レタスなどの朝採れの作物が目に飛び込んでくる。北神でさまざまな種類の青果が育つのは、雨量が少なく気温の変動も比較的穏やかな地域だから。そのため、多湿を嫌う夏野菜やレタス、ねぎなどの葉野菜の生育条件が整っている。また、いちごやぶどう、梨などの農園も数多い。
その中でも、「北神ねぎ」は、2013年ごろから本格的に栽培され始めた北神戸の新たなブランド野菜。緑の葉も白い茎も全体的に甘く、鍋や炒め物にいいのはもちろん、シンプルなねぎ焼きにするのもおすすめだ。
もうひとつ、〈ファームサーカス・マーケット〉で注目したいのは洋菓子のバリエーション。チョコレートやクッキー、プリンなどの、神戸市内で作られた洋菓子が集合。スイーツ好きには知られた店舗の銘菓も目を引く。神戸で洋菓子文化が発展したのは、文明開化以来のこと。明治時代、神戸市には外国人の居留地が設けられて西洋文化伝来の拠点に。そのことで市内にも洋菓子の店舗が次々に生まれ、「洋菓子の街」と呼ばれるようになった。
道の駅で人気の洋菓子は、〈神戸フランツ〉の「神戸苺トリュフ」。2003年に六甲で開店したスイーツ専門店の代表作だ。フリーズドライのいちごにチョコレートをコーティング。チョコのパリパリ感の向こうからいちごの甘酸っぱさが訪れる瞬間がたまらない。これはもうやみつきになる。
神戸市内の名店なら〈ハイジ〉も外せない。味とビジュアルの両方を追求してきたチョコレートスイーツ専門店で、銘菓「アルハンブラ」の生みの親として知られている。「アルハンブラ」はベルギーチョコレートがベースのガナッシュを、ココア風味のスポンジケーキでサンドした焼き菓子。ラムレーズンやストロベリーなど、いろいろなテイストを食べ比べできるのも楽しい。
そのほか、〈神戸FFP〉では神戸市のお酒、調味料、道の駅オリジナル商品なども取りそろえている。街中で買いそびれたおみやげを求めて、ここに立ち寄るドライバーや観光客も多い。
さて、買い物で疲れてお腹がすいたら、〈ファームサーカス食堂〉に。ここは〈ファームサーカス・マーケット〉の北神野菜をメニューに取り入れ、まさに地産地消を体現しているレストランだ。
ファームサーカス食堂のメニュー:季節の農家ごはん
「季節の農家ごはん」は農作物が主役のランチ。フレッシュな野菜の味が際立つサラダやおひたしがプレートを彩る。
この日のプレートは「白ごはん」と「味噌汁」に、「ほうれん草のおひたし」「こんにゃくの煮付け」「レタスのサラダ」「紫キャベツの酢漬け」「キャベツの温サラダ」「魚フライ」。新鮮がモットーなので直売所に新しく野菜が届けば臨機応変におかずを入れ替えるそう。昨日と今日でがらりと食材が変わることも珍しくなく、遊び心あふれる定食だ。
食堂のそばには〈ファームサーカス・カフェ〉も。スイーツメニューが充実の軽食コーナーで、道の駅でのブレイクタイムに利用されている。
デイズキッチンのメニュー①:10種季節野菜のピザ
〈デイズキッチン〉の名物「10種季節野菜のピザ」。旬の生野菜が日替わりで10種、ピザ生地の上いっぱいに盛りつけられている。シャキシャキ野菜の風味をとりまとめ、ハーモニーを引き出しているのは〈デイズキッチン〉自家製ドレッシングだ。日替わり野菜との相性で「にんじん」「とまと」「たまねぎ」、3種のフレーバーを使い分けている。ナチュラルな酸味があるドレッシングはチーズとベストマッチング。ピザは注文があってから厨房内の窯で焼かれているので、熱々ふっくらのまま食べられるのもうれしい。
デイズキッチンのメニュー②:こだわりトマトのポモドーロ
具材やソースにトマトがふんだんに使われているパスタ「こだわりトマトのポモドーロ」。このトマトは六甲山系の澄んだ水を吸いとって、まるまると育った北神産 。それがあえて大きくスライスされており、肉厚な食感を心ゆくまで味わえる。細くてもっちりしたパスタとソースの絡まり具合も絶妙。バジルとチーズの香りも食欲をそそる。
〈ファームサーカス〉や〈デイズキッチン〉をまわると、北神の農産物への思いが強くなっていく。なぜなら、その日出合ったばかりの野菜やフルーツを実際に食べられるようになっているから。おいしさを実感し、より興味が大きくなって「家でも料理してみたい」と思うようになる。まるで、初対面同士の子供がすぐに打ち解けて親しくなるような気持ちだろうか。道の駅で農産物を取り扱う場所が、楽しい夢の国である「サーカス」と名付けられた理由が分かった。