みちする

お買い物:
鮮魚に銘酒に発酵食
美味の日本史めぐり

2023.06.01

舞鶴・丹後地域は、弥生時代には当時最新の文化や技術が大陸から到来した地。
江戸期には城下町として発展。舞鶴湾に北前船が乗り入れ、廻船問屋が栄えた。
古から現代まで続く港湾文化と、海、里、山の豊かな自然環境が溶け合い、
時代ごとに、当時最先端のグルメカルチャーを数多く発信してきた。
舞鶴土産の買い物で、日本の美味をタイムトラベルしてみよう。

舞鶴は古代から新鮮な海の幸の宝庫。縄文の丸木舟が出土し、藤原京の時代にはカワハギの干物が都に献上されたという。お土産タイムトラベルの出発点に鮮魚の代表のカニを買うもよし、文献に因んで〈海鮮市場〉の各店で日持ちがする干物をセレクトするのも楽しい。

〈魚たつ〉ではカレイ、ハタハタ、フグ、カマスなど干物も充実。

この地域のグルメといえば数々の銘酒。丹後の羽衣天女の伝説には、「万病に効く酒を醸した」、「米作りや酒造り伝えて天に帰った」などの伝承があり、ひょっとしたら日本最古の酒はこのあたりから誕生したのかも知れない。

〈舞鶴やまいち〉では、舞鶴市の蔵元で作られた純米吟醸酒「みなと舞鶴(2,000円)」を販売。蔵元の池田酒造は舞鶴で唯一の酒造メーカーで、京都府だけで栽培されている酒米「祝」が原料に使われている。

柔らかな口当たりの辛口「みなと舞鶴」と池田酒造の代表銘柄 純米酒「池雲(1,600円)」。

日本海沿岸の発酵食品文化で欠かせないのが、江戸中期ごろの文献に登場するへしこ。へしこは、サバなどの塩漬けした後、米糠に長期間漬け込み熟成させた伝統的な郷土食。水で洗わず糠を落とし、そのまま刺し身やさっと炙って焼き魚として楽しめる。塩味と発酵した酸味が渾然一体となり、濃く深いうま味でごはんもお酒も止まらなくなること請け合い。

〈魚たつ〉の鯖のへしこ(1,500円)。ここでは各店自慢のへしこが販売されている。
へしこを手軽に楽しみたい人には「サバへしこ焼きフレーク(970円)」/〈舞鶴やまいち〉
魚のおぼろ(甘鯛1,200円/サバ・鰹・鰯880円)はお弁当やおにぎりにもGOOD。/「舞鶴やまいち」

近代の舞鶴といえば、赤レンガ倉庫群に代表される旧海軍グルメ。明治の文明開化以降、西洋式に海軍を整えた日本海軍は、欧州の海軍が壊血病防止に飲んでいたレモネードやシードルからラムネやサイダーを軍艦ごとに作るようになったとか。そんな歴史を感じさせてくれるのが〈夢や〉で販売している「舞鶴海軍サイダー(300円)」。シュワッと懐かしい味わいとレトロなパッケージが大人気。また、海軍カレー最古の文献に1908年(明治41年)に舞鶴海兵団が記したレシピに「カレイライス」が記載されており、現在もこの伝統を受け継いだ「海軍さんのカレー(896円)」を〈舞鶴やまいち〉で販売中。

カレーは京野菜の万願寺とうがらしが効いたピリッと爽やかな味わい。

そして現代のグルメとしては、ファーマーズマーケット〈あぐり〉のレトロかわいい「マイヅルプリン(350円)」が舞鶴の新名物。舞鶴市の赤岩山中腹にある西方寺平で育んだ新鮮な「赤岩高原のたまご」と丹後・久美浜のジャージー牛乳を使ったこのプリンは、お土産に大好評。入荷していない時期もあるので、出会ったらGETして欲しい。

近隣の農家から届けられる舞鶴が生んだ山と里の幸も販売。

施設まるごと舞鶴のごちそう食堂とも言える〈舞鶴港とれとれセンター〉だが、この食のライブ感を堪能できる巨大施設は、どうやって生まれたのか。その歴史を訪ねると、舞鶴の港町を愛する鮮魚仲買人にたどり着いた。

ページトップへ