みちする

お買い物:
野菜に乾物、日本酒
まるで小さな商店街

2023.04.13

毎日のように「みき」へと通うリピーターは絶えないという。
それほどまでに、地元民も観光客も日常にあってほしいと願う、
道の駅で手に入るおみやげとは?

1階には、3店が軒を連ねる「特産コーナー」が。訪れる人をフレンドリーにもてなしてくれる空気感は小さな商店街のよう。どの店先にも、地元の名産品がずらりと溢れる。三木市内はもちろん、近隣エリアの生産者や有名企業と協力しながら、地元の魅力を発信していた。

  • JAみのり直売所
コンテナに入っている新鮮な春菊や水菜は、ほとんどが三木市内の別所地区で栽培されたもの。

農業協同組合(JA)による、野菜直売所。市内の農家20軒以上と直でつながっているため、毎朝採れたてのみずみずしい野菜が運ばれてくるという。さらに、地元名産「山田錦」を原料にした日本酒も豊富に揃い、お米どころはお酒どころだと実感。牧場のアイスクリームやハーブも地元から届けられたもの。三木市の農業、畜産業の奥深さに驚かされる。

お酒好きに人気!「山田錦」を使用した日本酒といえば、濃厚な味わいの「葵鶴」と、すっきり風味の「水芭蕉」。
せんべいやボーロなど、三木市内で作られた素朴で懐かしい和菓子の数々も。
  • シェルブール道の駅みき店
マロンスイーツは好評につき、渋皮、宇治抹茶などの新フレーバーが生まれているのだとか。

神戸市内に本店を構える、人気洋菓子店。焼き立てのマロンスイーツが専門で、特にふっくらした食感のパイ、「みき山マロン」には連日、洋菓子ファンが詰めかける。さらに、地元産の味噌や漬物も置いているのはみき店の特色。

「みき山マロン」には大きな栗が丸ごとずっしり詰まったパイで、甘さもたっぷり。
みき店にある「半兵衛味噌」は平井地区のブドウ農家による手作り。地酒や天塩を加え、深い味わいに。
  • 「ヤマヒデ食品 道の駅みき店」
食品衛生管理手法「HACCP(ハサップ)」認定工場を持つ、「ヤマヒデ」の直売所は、全国でもみき店のみ。

三木市で削り節や乾物を製造しているメーカーの直売所。ティーパック方式の「だしぱっく」はここ以外の店頭ではなかなか見つからないレアな商品だとか。「とにかくリピーターのお客様が多いです。一度買ったら、ずっと使いたくなるのではないでしょうか?それくらいおいしい」と、大西駅長も太鼓判を押す。

みき店のオリジナル商品として、ギフトにぴったりの「おととパック」も誕生した。手提げパックいっぱいのだしや鰹節を、お得に買い求められるサービス商品。

いわし・かつお・さば・昆布・椎茸を原材料にした、上質な風味の「だしぱっく」。
「おととパック」には枯節が40袋詰まっている。バッグだけもらって好みで中身を変えてもいい。
「地元の道の駅ならではの特色としては、『だしぱっく』のような珍しい商品も置いています」と店員さんが教えてくれた。
  • 観光センターみき
野菜や果物以外にも、お肉や魚、洋菓子などが豊富な「観光センターみき」。

大西駅長が「特産コーナーが好評だったことから、それならもっとたくさんの地元商品を知ってほしい」と考え、1階に新しく開設したスペースが「観光センターみき」。兵庫県内でスーパーを運営しているナガサワ食品株式会社が、新鮮な野菜や果物、地元のおみやげを集めている。

野菜は神戸市や明石市、加東市などで収穫されており、JAみのりとは違った品種を選べる。

〈冬には三木市内で栽培されたいちごパックも山積みに。「紅ほっぺ」や「章姫」の甘酸っぱい香りが店内を満たす。〉

名産の酒米、「山田錦」の関連商品も「観光センターみき」には多い。三木市は「山田錦」の栽培が盛んな地域。昭和63年に生産量が3000トンを超えて以来、30年以上も全国一の産地の座を守ってきた。中山間地域や盆地が広がる三木市は夏季に気温の変動が激しくなり、「山田錦」の成長条件にぴったり。また、市内に多い粘土質の土壌も、「山田錦」の水田に適している。こうした稲作の盛り上がりは、「みき」に並ぶ、さまざまな「山田錦」関連のおみやげを生み出してきた。

「山田錦ビール」はお米の甘さが弾ける、フルーティーな味で女子会にも合いそう。
もっちり生地と北海道産の粒あんの組み合わせがクセになる「山田錦のあんパン」。

従業員のみなさんにイチ推しの「山田錦」アイテムを聞いてみると、「山田錦バウム」との回答が返ってきた。

「観光センターみき」のスタッフさんたちおすすめの「山田錦バウム」。グルテンフリーでしっとりとした口当たり。
お米どころである三木市では「山田錦」以外にも、「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」などが収穫されている。

さらに、伝統工芸品のコーナーでは「美吉籠」が特集されていた。これは三木市吉川町で継承されてきた手作りの竹籠。紀元前から伝わる日本古来の編組技法を元にして、明治時代に戸田甚之助が現在の形を生み出したとされる。螺旋状に編まれた竹のしなやかな美しさは、ホテルや茶室などで採用されてきた。

この滑らかな編み込みが職人技。「みき」内で籠の実演販売をすることもあるとか。

とにかく品揃えが充実している、みきの売り場。大西駅長は「その中でも、毎日の食卓に使える食品が愛されています」と嬉しそうに語る。

「コロナウイルスの感染拡大でおうち時間が長くなってから、たくさんの方が『本当にいいもの』を口にしたい、家に置きたいと思うようになったのではないでしょうか」。

そうやって「地元密着型の道の駅」をテーマに掲げているとあってか、お客さんは市内の方が中心。だが、「今後は観光客の誘致にも力を入れていきたい」と抱負を語る大西駅長。三木市民の生活に寄り添う名産品が、遠方の人たちの心をどれくらい揺さぶるのか、とても楽しみだ。

おみやげにおさまらず、「本当にいいもの」はみきの飲食店にもあふれている。

地元の戦国武将の名にちなんだ「長治せんべい」は、シンプルな卵風味で観光客に人気。

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