みちする

お買い物・グルメ:
大和高原の青果や卵
吉野・伊勢の銘菓も

2023.09.29

大和高原とその周辺のブランド農家さんがこだわりの生鮮を届けてくれる〈高原屋〉に、新鮮かつリーズナブルな地元野菜や老舗の味をPRする〈とれしゃき市場〉。それぞれの農産物直売所が特色を出しながら、豊かな品々を揃えている。さらに、〈ノースリリィ〉は南近畿を中心とした関西の銘菓が揃い、屋台グルメも展開。この三つの施設が揃う〈針テラス〉はワクワクしながら地場産品や観光みやげを選べる買い物スポット。広い敷地を回りながら、人気の品々を見ていこう。

〈針テラス〉のおみやげ①農産物(高原屋)

連日、お客さんで賑わう農産物直売所の〈高原屋〉。ここの野菜や果物、米の多くは店長自らが厳選した、ブランド農家さんによって栽培されたもの。たとえば、大和郡山市在住の農家・中西昭仁さんがつくった奈良県の伝統的な野菜、大和丸なす。その畑は「太陽熱消毒」による土づくりを徹底している。農薬に頼らず太陽の熱で畑の土を殺菌しているので、体にやさしい天然作物になっている。

お米コーナーには、米・食味鑑定士協会の「米・食味分析鑑定コンクール:国際大会in飛騨」で入賞経験を持つ2人、中山廣一さんの「こしひかり」、的場完次さんの「ミルキークイーン」などが並ぶ。2人とも、稲作が元気に行われている奈良市都祁(つげ)エリアのお米農家だ。

都祁で稲作が盛んな理由はその特別な土にある。現在の都祁は標高400~500メートルほどの高原だが、太古の時代、このエリアは海底だった。その頃に海のミネラルが土に浸み込み、時が経って陸地になってから、上質な農地として重宝されるようになった。ミネラルたっぷりの都祁のお米は〈高原屋〉のお客さんから「粒が揃っていて、炊くとふっくらする」と評判だ。

美しい球体の「大和丸なす」は奈良市内の特産品。しまって煮崩れしにくい肉質が魅力だ。

〈針テラス〉のおみやげ②卵(高原屋)

〈高原屋〉は奈良市内で養鶏場を営む〈吉本エッグファーム〉の「優しい卵よーどっこ」「赤い滋養卵」の販売店でもある。「優しい卵よーどっこ」はミネラルの一種、ヨードたっぷりの卵。低コレステロールなので、毎日安心して食べられる。「赤い滋養卵」はその名の通り、黄身の色がとても濃くて赤く見える卵。ビタミン群が豊富で、生でもしっかりと甘みを感じられるのが特徴だ。
いずれの卵も無添加の餌で育てられた鶏がその日の朝に産んだもの。インターチェンジのそばにあってアクセスが便利な〈針テラス〉で〈吉本エッグファーム〉の卵が買えるのはありがたい。

〈吉本エッグファーム〉の吉本文孝さんは約60年養鶏に携わる大ベテラン。「卵は鶏にやる餌で味が決まる」と言う。
〈IBURI KOBO〉のメニューで〈吉本エッグファーム〉の卵が味わえるのも、〈針テラス〉を訪れる醍醐味だ。

〈針テラス〉のおみやげ③ちりめん山椒(とれしゃき市場)

ちりめんじゃこと山椒の実を組み合わせた、甘辛い佃煮「ちりめん山椒」は〈とれしゃき市場〉の人気食品だ。もともと、「ちりめん山椒」は京都市の名物だったとされる。盆地である京都市では生魚を食べる文化が発達しなかったかわりに、醤油や酒などの発酵調味料による保存食が次々と生まれていった。「ちりめん山椒」もそのひとつで、昭和中期、京都市宮川町の料理人が考案。その後、山椒の栽培が盛んな山間部にも広まっていき、奈良県の吉野山に定着した。

いまや京都産に匹敵するほどの知名度を誇る、吉野の「ちりめん山椒」。〈針テラス〉の〈とれしゃき市場〉では、吉野の佃煮専門店〈大和本舗〉の「ちりめん山椒」が量り売りされている。山菜の佃煮で有名になった老舗〈大和本舗〉がレシピを応用してつくっている「ちりめん山椒」は、こうばしい香りが食欲をそそる。混ぜごはんやおにぎりに使うのは定番だが、サラダや和え物にふりかけるのも◎。

「ちりめん山椒」は店頭でスタッフさんがパック詰めしてくれる。

〈大和本舗〉の吉野葛を原材料にしたわらび餅も量り売りされている。トングから垂れるほどの柔らかさにびっくり。

〈針テラス〉のおみやげ③葛の和菓子(ノースリリィ)

吉野に近い〈針テラス〉の〈ノ―スリリィ〉には「吉野葛」の和菓子がずらり。
「吉野葛」の原材料・葛は小さくて美しい花を咲かせる植物だ。「ちはやぶる神のいがきにふはふ葛も秋にはあへず移ろひにけり」(紀貫之)という和歌が「古今和歌集」に収められているように、可憐な葛は古来から日本人に愛されてきた。
吉野地方で葛の根に含まれるでん粉から精製される自然食品が「吉野葛」。「吉野葛」は低温で固まるという特性を持ち、和菓子や精進料理の食材になっている。また、透明感のある見た目、心地いい粘りなども多くの人を虜にしてきた。

〈ノースリリィショップ〉で人気なのは〈亀久堂本舗〉の「吉野葛水」。葛のなめらかさを引き立たせたゼリーで、「水滴を食べているよう」と形容される、ツルっとしたのどごし。砂糖のシンプルな甘さで余韻もさわやかだ。
対照的に、〈亀久堂本舗〉の「吉野葛ぷりん」は粘りのある舌触りが印象的。プルプルした食感がクセになるプリンだ。

そのまま食べても、同封の黒蜜をかけてもおいしい「吉野葛水」。

「吉野葛ぷりん」は冷やして食べると、牛乳の味をいっそう感じられるのでおすすめ。

買い物の次は、〈針テラス〉で食事も満喫しよう。

〈針テラス〉の朝食セット(ノースリリィ)

朝食セット(かけうどんorかけそば・おにぎり1個) 500円。

早朝のドライバーたちは〈針テラス〉(ノースリリィ)で朝食をとることが多いという。無料区間にあたる名阪国道のそばなので、気軽に立ち寄れるからだ。おすすめの朝食はフードコートのリーズナブルな「朝食セット」。かけそばかかけうどんに、好きな具材のおにぎり1個を選べる。一日のエネルギー補給にぴったりな、炭水化物の組み合わせがうれしい。

屋台グルメ

〈ノースリリィショップ〉の玄関周辺には、奈良・三重県のせんべい屋さん、かまぼこ屋さんなどの屋台が集まっている。その一帯は、まるでお祭りのように賑やか。さまざまなローカルフードをできたてで食べ歩けるのは〈針テラス〉ならではの楽しみ方だ。

運転の休憩中には甘いものを。「おいものカフェImoo」で人気、焼きいもをたっぷり使った「芋濃ソフト」(650円)。
かまぼこ・天ぷら専門店〈新兵衛屋 針テラス店〉のあつあつの「じゃが天」(400)円。
〈伊勢路 煎餅本舗〉の大きいせんべいはどれでも1枚200円。(写真左:青さのり、右:ざらめ)
鉄板で焼かれている〈喜樂庵 針テラス店〉の草もち(1個200円)はやわらかくて香りもこうばしい。

〈針テラス〉は奈良県だけでなく、いいものを地域の垣根なく取り揃えている姿勢が印象的だ。京都発祥の佃煮、伊勢の銘菓などが同じ施設の中で買えるのはうれしい驚き。その背景には、針町が近畿のほぼ中心であることが挙げられる。針町は京阪神にも東海にもアクセスしやすく、昔からそれぞれの地方の食文化をどん欲に取り入れてきた。ここにできた〈針テラス〉は針町という場所の特性をより際立たせ、豊富な品揃えで今日も多くのお客さんを楽しませている。

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