みちする

駅の楽しみ方:
家族で遊べる空間
地域のつどいの広場

2022.12.06

開駅から10年以上のいずみ山愛の里が2022年の春、リニューアル
地場産品の売り場面積と品数がひろがり、地域の人の「おいしい台所」に。
色とりどりの遊具がある子どもたちの遊び場も新設。
個性豊かな道の駅が連なる大阪の南で見つけた、日常に密着した道の駅をご紹介。

だんじり祭りで有名な岸和田市と河内長野市に挟まれた和泉は、のんびりと穏やかな空気の農業地帯。夏は青葉、秋は紅葉に目を奪われる国道170号線の山あいを抜けて田園の道を走っていくと、ひょっこり、いずみ山愛の里が現れる。長時間運転してきたドライバーが心と体を休めるにはもってこいの場所。

のどかな山間の道の駅。いずみ山愛の里は地域のランドマーク。

この道の駅の歴史は長く、開駅は2008年7月。市民の憩いの場、和泉市南部リージョンセンターに併設する形で営業をスタートさせた。今年4月29日に一部を改装してリニューアルオープン。生まれ変わった道の駅の駅長さんにその内容をうかがった。

「以前は屋外テラスとレストランが直売所だったんですが、地元の木を使った新しい建物を立ててリニューアルし、売り場の面積を広くしました。レストランも改修して『旬菜レストランつむぎ』という名称に。座席数は65席で、地元の食材を使ったメニューが人気です」
駐車場から向かって左手に見えるのが「地場産品販売所」、右手が「旬菜レストランつむぎ」。いずれもリニューアル後、大きく魅力をアップさせた施設だ。

青果や海鮮類を売っている地場産品販売所。リニューアルで売り場が拡大した。

旬菜レストランつむぎもリニューアル後に営業開始した施設。

併設しているリージョンセンター。施設内には図書館などの憩いの空間がある。

地場産品販売所は食材のバリエーションがスーパーマーケット規模。以前の直売所では和泉市産の生鮮だけを仕入れるというルールがあったものの、リニューアル後はそれを緩和。市外からの仕入れも日常的に行うようになった。取材当日も、岸和田港から引き揚げられたばかりの新鮮なハマチが、一尾まるごとで500円(!)という、うれしい価格で店頭に並んでいた。
市外からの仕入れに踏み切ったのは、「お客様のニーズ」を優先したからだと、駅長さん。
「地域のお客さんの日々のニーズに応えるには、品ぞろえが必要です。そのためには近隣の生産者さん、企業さんにたくさんご協力いただきました」

商品を拡充したことで日々の買い物がしやすくなり、地元の人たちの利用が広がったとか。この「地場産品販売所」の食材は、「旬菜レストランつむぎ」でも使われており、地域産を大切にしつつ、観光客にもアピールできるメニュー作りに取り組んできた。インスタ映えを目指したかわいいスイーツにも力をいれている。

リニューアルで拡大されたという直売所。新鮮な食材や花をこれまで以上にたくさん販売できるように。

あたらしく生まれ変わってからは、どんなお客さんが多いんですか?
「4月にリニューアルしたばかりなので、まだデータを収集している最中ですね。ですが、レストランの裏にあるリージョンセンターが運営している多目的大型遊具公園ができてから、ここを訪れる若いファミリー層が増えてきました」

見れば、人工芝の上にジャングルジムや滑り台。取材の日も子どもたちが元気に遊び、それを買い物ついでのお母さんたちが見守っている。その背後の丘には、オレンジの果実が点々と実るみかんの果樹園と、宇宙ステーションを思わせる大型のビニルハウス。ここをリニューアルしてから、昔から働いているスタッフさんも「今までにない、楽しい光景ですね」と驚いたそう。

若いお客さんが増えているという遊具公園。人工芝が広がっている。

子連れファミリーもドライバーも、地域の人や高齢者も「今日も行こうか」と思える場所。山愛の里のリニューアルの魅力は「毎日の利用という間口の広がり」にあるのかも知れない。駅長さんは、これからのビジョンを語る。
「地域には若い生産者さんを応援する施設もできています。これからはそうした人たちともコラボレーションしていきたい」

いま全国の道の駅は地域の交流地点として幅広い世代が集う、エリアの中核施設を目指し始めている。山愛の里のリニューアルは、その取り組みのひとつの答えかもしれない。

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