駅の楽しみ方:
すさみ八景の果てに
長旅の後のご褒美!
2023.09.15
和歌山県西部から南部にかけて湾岸沿いを走る紀勢自動車道(※)その道中は、日本三古湯の白浜温泉や、雄大な岩場である鳥毛洞窟、志原の千畳敷などの名所満載の観光ルート。稲積島や上ミ山古墳などの絶景スポット「すさみ八景」を巡る際にも、紀勢自動車道は利用されてきた。美しい眺めが続く道の最南端、〈すさみ南インターチェンジ〉を降りるとすぐ〈道の駅すさみ〉は見えてくる。
目の前には西日本を代表するリアス式の「すさみ枯木灘海岸」が。陸と海が入り組んだ豪壮な地形に臨む〈すさみ〉は、絶好のフォトスポット。さらに、和歌山みやげの大型ショップとしても知られている。
ここで人気なのは春に旬を迎える「すさみケンケン鰹」。そして、まぐろ、伊勢海老といった海産物。いずれも近郊の漁港で水揚げされていて、鮮度抜群だ。
海の幸以外では、みかんやレタス、キャベツなどの和歌山の青果が直売所に並ぶ。イノブタ食品や紀州南高梅などもおみやげ売り場の呼び物に。これらの食材は道の駅のレストランメニューにも使われている。さらに、隣接するホテルには温浴施設「望海の湯」が併設され、入浴だけの利用もできるというから、ここに来るだけで良質な食と温泉浴が叶い、まさに至れり尽くせり。〈すさみ〉はまるで、長ドライブのご褒美のような場所。海のそばでゆるりと過ごすひとときは何とも贅沢だ。
(※)紀勢自動車道は、〈南紀田辺IC〉―〈すさみ南IC〉間の和歌山県区間と、〈勢和多木ジャンクション〉―〈尾鷲北IC〉間の三重県区間の2区間を指す。
施設①おみやげ売り場・野菜直売所
〈おみやげ売り場〉の食品コーナーはラーメンや醤油、かつお節などのバラエティーに富む。濃厚な豚骨醤油がベースの和歌山ラーメンは、こってり好きにはたまらない。伝統製法による醤油、生がつお使用のかつお節なども、日常の食卓に欲しくなる。お菓子のコーナーに目を移せば、みかんや伊勢海老などの特産品にちなんだチョコやお団子、おせんべいが。
あまりの品ぞろえの多さにどれを買うか迷ってしまったなら、道の駅「おすすめコーナー」をチェック。すさみ産イノブタを使ったカレーや燻製などの食品をはじめ、南紀にまつわるおみやげがピックアップされている。
地場産品をお探しなら、〈野菜直売所〉へ。 紀伊水道を流れる黒潮の影響を受け、年間の平均気温が17度前後で降水量も多いすさみ町は農業にうってつけ。日光に当たるほど甘みが増すといわれている柑橘類、レタスやキャベツといった夏野菜も栽培されている。そんなすさみエリアで収穫された朝採れ野菜や果物はみずみずしく、日持ちも◎。
施設②枯木灘鮮魚商会
すさみ町は黒潮の恩恵を受け、漁業が活性化した地域。枯木灘海岸一帯ではほぼ毎朝漁が行われており、かつお、まぐろ、たちうおといった魚が獲れる。そんな漁業のエネルギーを伝えようと道の駅は「南紀のおいしい魚発信プロジェクト」を提唱し、鮮魚店〈枯木灘鮮魚商会〉を中心に据えた。
町の魚のうまさ、豊かさをたくさんの人に知ってもらうのがプロジェクトの目的。そのため、〈枯木灘鮮魚商会〉では串本港などの地元近郊で水揚げされた魚にこだわっている。朝届いたばかりの鮮魚は生臭さがなく、身にはハリがある。
施設③南紀すさみの恵み食堂蒼海
近郊で獲れた魚や名産のイノブタをふんだんに使ったランチメニューが好評のレストラン〈南紀すさみの恵み食堂蒼海〉。どの料理も季節の食材を大切にしているのがうれしい。レストランの窓から見えるのは、「サメの歯」や「ノコギリの刃」に例えられるリアス式海岸の一部。長い年月をかけて波が陸地を削った地形の迫力も、ここで食事をする際の趣に。
施設④望海のゆ
道の駅に隣接するホテル〈フェアフィールド・バイ・マリオット・和歌山すさみ〉 。その中にある温泉施設が〈望海のゆ〉だ。pH値の高いアルカリ性温泉にゆっくり浸かれば、サラサラの肌触りを堪能できる。そして、バルコニーテラスの露天風呂からは、枯木灘に浮かぶすさみ八景のひとつ、万緑の江須崎島を望める。亜熱帯植物の密林に覆われた島全体は天然記念物にも指定されており、紺碧の海面との美しいコントラストに見とれるばかり。
〈すさみ〉のあれこれをのぞいていくうちに、駅長の井谷良信(よしのぶ)さんから聞いた言葉をどんどん実感していった。
「和歌山のおみやげどころの中でもここは特に種類が多いし、いいものがたくさんあるんですよ」。
自然の恵みを感じる魚、肉、野菜、おみやげも充実していて、地元食材をベースにしたおいしい食事もできて、絶景の間近で露天風呂にも浸かれる〈すさみ〉。観光にはもちろん、心身に活力をチャージするリトリート旅行にもおすすめだ。
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