みちする

駅の楽しみ方:
「駅」がコラボ!
勝浦めぐりの拠点

2023.06.29

和歌山県最南端の湾岸沿いを走る国道42号線は、南紀白浜や潮岬を通る海沿いのドライブコース。さらに、串本町の奇岩群「橋杭岩」や絶滅危惧種・オオタニワタリの自生地である無人島「九龍島」といった数々の絶景にも遭遇できる。SNS映え必至!神秘的な海の奇観に魅せられた頃、那智勝浦を通りがかると現れる道の駅が〈なち〉だ。

〈なち〉にはJRと路線バスの停留所が隣接しており、熊野詣へのアクセスが抜群。日本一の那智の滝や熊野古道、大門坂・熊野那智大社・那智山青岸渡寺がある那智山に向かう世界遺産・熊野古道ウォークの際、列車やバスから降りて〈なち〉を利用する人も多いそう。そんな参詣者たちが立ち寄るのは、「熊野那智参詣曼荼羅絵図(くまのなちさんけいまんだらえず)」を展示する〈世界遺産情報センター〉。そこの資料映像や展示物は、通りがかっただけのドライバーの目も惹きつけている。

さらに、白い砂浜〈丹敷浦(にしきうら)〉が広がる〈ブルービーチ那智〉も道の駅の目前に。熊野那智大社を思わせる外観や美肌の湯、特産品の直売所など、気になるポイントが満載の〈なち〉。そこには、ドライブ中でも思わず車を留めてのぞきたくなるような、紀南の名所や名物が、集まっている。

施設①丹敷の湯(那智駅交流センター)

平成22年11月に〈なち〉が道の駅に登録される前から、ここにあった建物が那智勝浦町運営の〈那智駅交流センター〉。その2階には温泉施設〈丹敷(にしき)の湯〉が設けられている。階段を上っていくと、徐々に硫黄泉の香りが濃厚になり、この香りが「温泉にやって来た」という気分を盛りあげる。〈丹敷の湯〉には連日、地元の常連客たちが通うほか、海水浴のファミリーや熊野古道の参詣者も、旅の帰りに汗を流していくとか。

お湯は「アルカリ性単純温泉」で、さらさらした感触が肌に気持ちいい。
窓の向こうに見えるのは海水浴場〈ブルービーチ那智〉。穏やかに波が寄せる那智湾の景色にうっとり。
1階には休憩用のスペースも。売店でジュースやアイスクリームを買って、ゆったりくつろげる。
「日本サッカーの生みの親」と評される、中村覚之助氏は那智勝浦出身者。関連展示コーナーや記念碑も。

施設②熊野那智世界遺産情報センター

ディスプレイに映し出されているのは毎年7月に行われる「那智の扇祭」の様子。

熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社、これら「熊野三山」へと通じる熊野古道は平成16年、世界文化遺産に登録された。いまや和歌山県を代表する観光名所。アップダウンもある熊野古道を歩いてきた参詣者は〈なち〉でひと息つくのが定番コースに。そんな人々に熊野詣をより楽しんでほしいという思いから無料開放されている空間が〈熊野那智世界遺産情報センター〉。ディスプレイや美術品のレプリカ、ジオラマなどを通して、熊野の歴史を学べるようになっている。

かつて高僧が観音浄土を目指して航海した捨身行「補陀落渡海(ふだらくとかい)」が精密なジオラマに。

参詣道のような渡り廊下を歩いていくと、道の駅のお買い物スポットに辿り着く。

渡り廊下は路線バスの待合所としても町民に利用されている。

施設③地元農産物直売所

調味料やお菓子、ソフトドリンクなど「地元のいいものならなんでも」がモットー。

〈地元農産物直売所〉には大根、レタス、みかんなどの青果が近隣の農家から毎朝届けられてくる。また、勝浦漁港や宇久井漁港で獲れたかつおやまぐろなどの海産物や、「那智黒」や梅干しなど、紀南ならではのおみやげも満載。近所の人が手作りしている、カツや唐揚げたっぷりのお弁当なども静かにファンを増やし続けているのだとか。

野菜売り場の朝。お昼過ぎにはほとんどの野菜が売り切れるというから、ぜひ午前中にチェックを。
保存が効く魚の干物は遠方から来られた方にもぴったりのおみやげ。

派手な高級食材はなくても、地元の名物や手作りの味がいっぱい。都会の喧騒から離れてまったりと過ごせる〈なち〉の穏やかなひとときは、忙しい現代人にとっての充電タイムになるはず。

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