駅の楽しみ方:
茶畑のまんなか
盛りあがる村おこし
2023.11.30
「南山城村」は京都府東南端にあり、木津川と名張川が合流する谷と山地、標高500メートルを超える高原で構成されている京都府唯一の村。そんな急峻な山間部の茶園では、お茶栽培に適した気候と土壌条件を兼ね備え、香り高い良質な高級茶を育んでいる。
また、地図で見ると滋賀県・奈良県・三重県に接する府県境にある特異なエリア。多様な農業や食文化が混ざり合い、伝わってきたという。
今では、この村に魅せられたIターンやVターンの移住者も増え、住民が地域おこしの一環として、さまざまにこだわりの産品を〈道の駅 お茶の京都 みなみやましろ村〉でお披露目している。
まず目を奪われるのは、抹茶・煎茶・玉露を生んだ“日本茶のふるさと”と呼ばれる「宇治茶」の主産地ならではの上質なお茶や、お茶を使ったラインアップ。茶畑広がる緑の風景を望みながら、まさに“お茶を満喫する”にも、絶好の環境だ。
施設①村のもん市場
朝採れ野菜や米などの地元特産品や手作りの“おかん弁当”といった「村のもん」が集まるマルシェ。加えて京都・祇園で人気の薬味や、隣接する奈良・月ヶ瀬の梅干し、“三重・滋賀のもん”も並んでいる。
中でも外せないのはやっぱり「“宇治茶”を支えてきたのは南山城村」と謳われるほど上質な地元名産のお茶。緑茶や抹茶、ほうじ茶に加え、近年、紅茶も棚に加わった。その品ぞろえたるや、駅名に“お茶の京都”と冠しているのも伊達ではないと感じ入る。
さらに〈みなみやましろ村〉ではオリジナルブランド「村茶(むらちゃ)」を立ちあげ、お茶を使ったおみやげの開発に力を注いできた。特に抹茶本来の濃厚な風味を生かしたプリンやケーキなどの抹茶スイーツは、開店直後に売り切れるほどの人気ぶりだ。
施設②村風土食堂つちのうぶ
村の気候、土、水で育まれた食材ありのままのおいしさを大切にした食堂。店名〈つちのうぶ〉の「うぶ」とは「混じり気がない」という意味から。「確かにこの土地で産まれたものを…」という、お店の想いを託したものだ。
ここでも主役は南山城産のお茶。茶そばや茶飯のほか、定食の小鉢にもお茶が使われている。お茶以外にも旬の地元食材や食文化に触れられる“風土”メニューも充実。抹茶の衣をまとった天ぷらをのせた天重と茶そばのセット「お茶づくし御膳」が人気。地元の鹿肉を使った「山背(やましろ)鹿の陶板焼」も、手軽に鹿肉が味わえると評判だ。
温かいほうじ茶が飲み放題というサービスも、お茶どころらしいおもてなし。
施設③村茶屋
南山城村で採れる良質なお茶を使ったスイーツをテイクアウトで楽しめるコーナー。季節限定のメニューが多く、来るたびに発見と感動をもたらしてくれる。お店でナンバーワンの人気を誇るのは、南山城村産の春摘み抹茶「おくみどり」を使った「村抹茶ソフト」。そのおいしさは全国的にも有名で、暑いシーズンには券売機に並ぶ人の列が道の駅の風物詩になるほど。お茶本来の爽やかな香りと、長い余韻が続く贅沢な旨みや苦みは、並んででもぜひ味わいたいところだ。また、食べやすいカップ入りのむらちゃパフェも用意している。
山の中で遊ぶ感覚を体感できる芝生公園