みちする

駅の楽しみ方:
花の香りに包まれた
田園地帯のギフト館

2023.09.02

かわいいレンガの屋根や畳がまるでおとぎ話の世界のよう。〈道の駅 東近江市あいとうマーガレットステーション〉に一歩足を踏み入れると、美しい景観に心が弾む。
道の駅の名前になっている「あいとう」とは、滋賀県の旧愛知郡愛東町のこと。2005年に愛東町と、八日市市、神崎郡永源寺町、五個荘町、湖東町が合併して、東近江市が新たに発足した。〈マーガレットステーション〉がある東近江市妹町が、かつての愛東町にあたる。
その妹町(旧愛東町)は琵琶湖から鈴鹿に続く、近江盆地と呼ばれる平野の中心部だ。穏やかな気候となだらかな地形は農業向きで、メロン、ぶどう、いちごの栽培が昔から盛ん。耕地の9割以上が水田で占められるほどの米どころとしても知られてきた。さらに、地元農家ではガーデニングやフラワーアレンジメントの文化が根づいており、町中が花で彩られた地域だ。

〈マーガレットステーション〉は、そんな恵まれた自然と農作物をしっかりと受け継いでいる道の駅。駅のあちこちには花壇があり、四季折々の花を楽しめる。そしてもちろん、野菜や果物、東近江のご当地グルメなども満喫できる。

施設①あいとう直売館

地元産にこだわった、野菜と果物の直売所。ここには旬の野菜や米、農家で作られたジャムや漬物などが並んでいる。注目なのは季節の果物の豪華さ。冬から春にかけてはいちご、夏から秋にかけてはすいかやぶどう、梨が人気だとか。〈マーガレットステーション〉の果物のおいしさは京滋エリアでは有名で、土日のたびに駐車場の前では渋滞が起きるほど。
特に、4~5月に収穫が始まる「あいとう温室メロン」は一度口にしたらリピートせずにはいられなくなる。県内外のファンがその爽やかな甘さとの再会を毎年心待ちにしている。

青果類の隣には、地元サークルによるフラワーアレンジメントのコーナーも。

施設②田園生活館

その名の通り、東近江市の田園地帯から生まれたおみやげでいっぱいのショップが〈田園生活館〉だ。菜種油やハーブティー、ドライフラワーなどの花にちなんだ商品が多い。また、フラワーアレンジメントの工房ではオーダーアレンジも受け付けている。贈る相手に合わせて花を選ぶところから、エキスパートが相談に乗ってくれる。東近江市の特色がある食品や花のギフトを選ぶなら、〈田園生活館〉がおすすめ。

ハーブ関連品の多さにびっくり。滋賀県名物の箱菓子もたくさん。
〈花工房mimosa〉ではフラワーアレンジメントの体験教室も開催。

施設③ムラサキ

東近江市内の林田町、瓜生津町ではおなじみの「八風(はっぷう)そば」は、地元産そば粉にこだわった新たな郷土料理。〈マーガレットステーション〉内のレストラン、〈ムラサキ〉はコシの強い「八風そば」を味わえる貴重な飲食店だ。そば以外でも、ボリューム満点のからあげなどの定食メニューが用意されている。
ちなみに、店名の「ムラサキ」とは東近江市の花。万葉集の「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」という、額田王が詠んだといわれる有名な歌にも登場し、日本最古の紫草だとされている。ムラサキのように地元民から愛される存在になりたいという願いが込められた名前だ。

落ち着いたインテリアの〈ムラサキ〉は観光やドライブの休憩所にもぴったり。

施設④ラプティ

オリジナルフレーバーを日々考案しているジェラートショップ〈ラプティ〉。東近江市のいちごやぶどうをジェラートにしている。また、「まいたけ」「そら豆」「黒豆」などの珍しいフレーバーも続々登場。これらの野菜や穀物の甘みはバニラアイスにマッチし、驚きと感動を呼ぶ。玄関前にはイートインとなるベンチもあり、道の駅のオアシスとして利用されてきた。

ジェラート以外にも〈ラプティ〉ではパンやケーキを置いている。

駅長の言葉

「地元の人の協力はお金で買えるようなものじゃない。この駅は恵まれています」と大平駅長。

県外から移住してきたという大平健太郎駅長は、〈マーガレットステーション〉の魅力を「地元愛の強さ」だと考える。
「農家さんが熱心だから、道の駅に届く野菜も果物もすごくおいしいんですよ。愛東地区は人口が少ないからこそ、『みんなで道の駅を盛り上げて、ここを知ってもらおう』という気持ちになってくれるんです」。
地元の人々の愛が花開く〈マーガレットステーション〉。もてなしの気持ちがあふれているおみやげやグルメに、訪れる人の心も明るくなってくる。

道の駅にこんな素敵な場所も!

無料開放されている屋上の〈田園ビューデッキ〉からは、旧愛東町の田園風景を360度見渡せる。
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