駅の楽しみ方:
和牛に播州織に―
北はりまを知る場
2023.08.29
兵庫県西脇市の通称は「日本のへそ」。東経135度と北緯35度が交じり合うこの地は、日本列島のほぼ真ん中に位置する。そんな西脇市は、隣接する多可町と共同で〈北はりま田園空間博物館〉というプロジェクトに取り組んできた。これは地域全体を「屋根のない博物館」に見立てて、訪れる人たちに特産品や自然、文化への興味を持ってもらおうという構想だ。
西脇市内の〈道の駅 北はりまエコミュージアム〉も、このプロジェクトで大きな役割を果たしている。2002年に道の駅へと登録されたこの道の駅は、〈北はりま田園空間博物館〉の総合案内所であり「展示物(サテライト)」のひとつ。一体どんなものが展示されているのだろう?足を踏み入れると、お米や野菜、果物などの地場産品の数々が、まさしく「博物館(ミュージアム)」のように並んでいた。
施設①特産品販売コーナー
道の駅の中で、お菓子や野菜、冷凍肉などを販売しているスペースが〈特産品販売コーナー〉。特に、豊富な日本酒や醤油、味噌などが棚にずらり。播磨地方はお米どころであり、醸造文化が発展してきたことを示している。
さらに、西脇市が発祥とされている「播州織」のコーナーも設けられている。昔ながらの「先染め」による繊細な色合いを持つ「播州織」製品は、西脇市が誇るおみやげ。加古川をはじめ染色に適した軟水の河川に恵まれ、この美しい伝統工芸は発達していった。道の駅では「播州織」で定番のショールのほか、カジュアルなワンピース、シャツなども目立つ。
施設②レストラン〈たにし〉
北はりまエリアが誇るグルメとして、黒田庄和牛と「山田錦」は外せない。黒田庄和牛は西脇市の黒田庄町内で約2年半育てられた血統書付きの但馬牛(たじまうし)のこと。「山田錦」のわらなど、栄養たっぷりの餌を食べて育った黒田庄和牛はその約9割が「神戸ビーフ」に認定されるほど、高い品質を保ってきた。また、「山田錦」は国内生産量が最大の酒米。深みがあり甘い味は、数々の銘酒の原材料になってきた。
これらの播磨の特産品を振るまっている道の駅のレストラン〈たにし〉の看板メニューは、ゴージャスな和牛ステーキ。さらに、手軽に味わえるつけ麺にも贅沢に黒田庄和牛が使われている。デザートは「山田錦」のアイスクリームでシメたいところ。
施設③ネーブルバーガー〈スターズ〉
西脇市産の黒田庄和牛や野菜をバーガーにして振舞っている屋台風のお店。ボリュームたっぷりのバーガーのほか、自家製スープやパンツェロッティ(揚げピザ)なども注文できる。季節に合わせながらレシピを変えているそうで、旬の北はりまグルメをチェックするならここ。
施設④情報コーナー
〈北はりま田園空間博物館〉の対象施設やイベントを知りたいなら〈情報コーナー〉にぜひ。北はりまの名所がコンプリートされた「まるごとガイド」が配布されているのがうれしい。ボランティアの常駐ガイドさんもいるので、旅のプランを相談してみて。
駅長の言葉
道の駅の篠原秀明駅長は、ここで「地域の独自性を知ってほしい」と願っている。
「西脇市は『日本のへそ』と呼ばれていたり、播州織発祥の地だったり、ここならではのものがたくさんあります。ぜひ見に来てほしいですね」。
「日本のへそ」西脇市の田園地帯が生んだ、播磨グルメと伝統工芸。あなたの心のど真ん中を射貫くような魅力が、〈北はりまエコミュージアム〉には備わっている。