グルメ:
味わい方いろいろ
みつの播磨メニュー
2023.03.31
窓から瀬戸内海を眺めながら、
旬の海鮮を味わえる「レストラン魚菜屋(ととなや)。」
シーフードを使ったハンバーガーやピザなど、
ここならではのファストフードを食べられる「海風kitchen」。
道の駅みつで出合った2つの飲食店には、
季節の西播磨グルメがぎゅっと詰まっていた。
「なるべく地元の食材を使い、余計な味付けをしない。旬の食材本来の魅力を味わっていただく。それが、『レストラン魚菜屋』の心がけです」。
料理長兼道の駅みつ駅長の牧野良弘さんが語る、その言葉の通り、店内には名物の牡蠣メニューがあふれていた。
圧巻のボリューム!牡蠣尽くしというアイデアは、どのようにして生まれたのですか、牧野駅長?
「以前は、牡蠣のコース料理を提供していました。ただ、コースだと時間がかかり、お客さんをお待たせしてしまいます。そこで、いろいろな料理をある程度まとめて楽しんでもらえる、『牡蠣スペシャル』を考えたんです」。
確かに、テーブルの上に一斉に並べられた牡蠣料理の数々には、どれから箸をつけたらいいのか迷ってしまうほど。かなりの量ではあるが、新鮮な牡蠣は甘みがあって食感も滑らか、気がつけば完食してしまうおいしさ。
レストランの牡蠣はほとんど地元の室津港で獲れたもの。野菜も道の駅の直売所で毎朝買っている。米は地元で自然栽培されたたつの市産の「ヒノヒカリ」、刺身の魚も兵庫県産で統一するように意識してきたという。
どれも地元産の食材だから、とびっきり新鮮。窓の外の瀬戸内海に目をやれば、漁に携わる生産者たちの顔が見えるよう。海の恵みを贅沢に盛り込んだ料理を海のそばで堪能できるのは、海沿いの道の駅ならではの醍醐味だ。
地元の食材の良さを発信する「レストラン魚菜屋」の姿勢は全国漁業協同組合連合会にも認められ、「プライドフィッシュ」に選定された。プライドフィッシュとは「漁師が選んだ、本当においしい魚」に贈られる称号。「レストラン魚菜屋」の味には魚のプロフェッショナルたちさえも舌鼓を打つ。お客さんが「食べたい」と思い、漁師さんが「食べてほしい」と願う味が、播磨灘のそばにある。
道の駅みつ内にある、もうひとつの飲食店が「海風Kitchen」。西播磨エリアの食材を使ったファストフードコーナーで、ハンバーガーやピザ、唐揚げなどのメニューを選べる。テイクアウトした料理は、お店の前のベンチで食べてもよし。海岸で味わうもよし。今回は、寒いシーズンに人気の「カキコロッケ」と、西播磨の食材を合わせて堪能できるスイーツ、「しおかぜバニラとあまおうのMIXソフト」をいただくことにした。
熱々の「カキコロッケ」の中は、室津港の牡蠣を小さく切っており、とろ~り濃厚なホワイトソースを絡めたタネが。
2つのフレーバーをMIXさせたソフトクリームは、紅白の見た目も美しい。白は「しおかぜバニラ」。混ざっているのは赤穂産の塩で、適度な塩気がバニラの甘みをより際立たせている。赤は季節限定フレーバー「あまおう」。あまおういちごのほのかな酸味と、バニラの甘じょっぱさが溶け合い、後を引くおいしさ。「海風Kitchen」ではその時期に合ったフルーツを使った「季節のソフト」を提供しているという。
海産物も野菜もおいしい道の駅みつ。その理由は、たつの市の風土にある。播磨灘の室津港や岩見港のほか、四国の香川県や徳島県との距離も近く、海産物がたっぷり獲れる。米や大根、トマト、白菜などの野菜も、成山新田で豊富に栽培されてきた。そのうえ、たつの市は龍野城のお膝元だった室町時代から現在に至るまで、酒や醬油作りが盛んな地域でもある。
つまり、西播磨は伝統的に、バラエティー豊かな食文化を発展させてきた土地柄。道の駅みつで出合った豪快でサービス精神満載のフードメニューからは、「港町」「農地」「城下町」という、たつの市の3つの歴史を感じ取ることができた。
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