世界遺産登録20周年記念! みちする的2泊3日の熊野古道ウォーク② 大辺路・長井坂ルートの歩き方
2024.06.21
初心者でも熊野ウォークを楽しめるコツは、前回の記事で紹介した通り、次の4つ。
コツ1.眺めのいいルートを選ぶ
コツ2.宿泊先や交通機関、休憩所をリサーチする
コツ3.熊野古道の「いいとこどり」をする
コツ4.自分の体力を考慮してスケジュールを計画する
これらを実践しながら、世界遺産登録20周年の今年、熊野を旅してきた。今回選んだルートは、紀伊半島南端沿いに伸びた大辺路(おおへち)。大辺路は道中の景観が美しいうえ、山道の勾配も比較的ゆるやかなので初心者でも楽しんで歩ける。
また、大辺路には補給地点になる道の駅が多い。道の駅に近接したホテル〈フェアフィールド·バイ·マリオット 道の駅ホテル〉も2軒あり、食事どころや宿には困らない。朝から晩まで熊野ウォークや観光を堪能し、ホテルに帰ったらすぐお風呂とベッド―。そんな理想的なプランを道の駅と〈フェアフィールド·バイ·マリオット 道の駅ホテル〉を拠点にすれば実現できるはず。
さあ、まずは紀伊半島に向かおう!
1日目 〈大辺路〉の中の王道を行く
今回の熊野ウォークのメインになるのは、大辺路の中の長井坂ルート。JR周参見駅から見老津駅まで、枯木灘を望みながら山道を行く、約10.5キロメートルの経路だ。3つの峠越えが待っているが、坂道の途中の平地「段」が多く、休憩所には事欠かない。ルートの終盤、見老津から見下ろす枯木灘と潮岬(しおのみさき)の眺めは雄大で、クライマックスにふさわしい。
9:30 〈すさみ南IC〉を下りる
南紀方面に行くには、紀勢自動車道を利用する。その終着点が〈すさみ南IC〉。下りるとすぐ、宿泊施設〈フェアフィールド·バイ·マリオット·和歌山熊野古道すさみ〉が見えてくる。
9:45 フェアフィールド·バイ·マリオット·和歌山熊野古道すさみ
全国29カ所(2024年5月時点)の道の駅に近接し、「地域を渡り歩く旅のスタイル」をサポートしている〈フェアフィールド·バイ·マリオット 道の駅ホテル〉にチェックイン。ホテルから周辺のお店や観光地へと、シームレスにアクセスできるるのが大きな特徴だ。
施設内にあえてレストランを設けず、かわりにスタッフさんが近隣の飲食店を紹介してくれる。おみやげを持ち帰って部屋で食べたり、電子レンジやトースターで簡単に調理したりすることもできる。
部屋に荷物を置いたら、長井坂にGO!その前に、道中は長いので、ホテルの隣にある〈道の駅すさみ〉で弁当やおやつを買っておくのがおすすめ。
10:00 江住駅
準備が整ったところで、まずはJR江住駅まで徒歩で移動。〈すさみ〉からは約1キロメートルほどの距離だ。
10:10 周参見駅(長井坂ルートのスタート)
江住駅から乗車して、周参見駅で降りる。ここが長井坂ルートのスタート地点。いよいよ熊野ウォークが始まる!
【長井坂ルートMAP】
10:30 馬転坂入口
周参見駅から国道42号線をまっすぐ歩くと、15分ほどで馬転坂(うまころびざか)の入口が見えてきた。その名は「馬すらも転ぶ」ほどの急な坂道だったことに由来するが、約1.7キロメートルの道程のほとんどはゆるやかな下り道。短い上り坂を越えれば、のんびりと歩いていける。
10:45 西濱入り口~タオの峠
馬転坂を越えると、樹林に囲まれた熊野古道の雰囲気が本格的に強くなっていった。西浜のバス停が、山道に入る目印。ここから続くタオの峠は、「たおやか」を語源としていることからもわかるように、なだらかな坂道で歩きやすい。林の中をぬうように続く石畳を頼りに、最初の目的地である和深川王子神社(わぶかがわおうじじんじゃ)へと進んだ。
11:30 和深川王子神社
ここで昼食休憩を兼ねて参拝。春日大社の摂社として1625年に創建された和深川王子神社には、室町時代以前の懸仏3体が完全体で保存されている。境内を囲むナギやムクノキなどの古木が、なんとも神秘的な趣だ。
13:30 長井坂
神社を出発して約15分、ここからが最大の山場、長井坂だ。700メートルほどの上り坂は、あせらずじっくりと歩を進めるのが攻略のポイント。その先は平坦な山道と下り坂に切り替わる。
14:30 茶屋の段
長井坂を下る途中にある茶屋の段は、このルートで最後の休憩場所だ。山中では貴重な段であり、毎時時代末期まではここに茶屋が設けられ、旅人たちの憩いの場になっていたという。江戸時代以前のものと見られている道標石には「みぎハやまみち ひだりハくまのみち(右は山路、左は熊野路)」と刻まれており、熊野参詣の歴史を感じさせる。
15:30 見老津駅(ゴール)
5時間以上かけて〈見老津駅〉にゴール!ちなみに、健脚の方なら4時間以内に歩くこともできるそう。
ここからホテルに引き上げていくのもいいが、体力が許すようなら国道42号線を1.7キロメートル歩き、恋人岬を訪れてみよう。すさみ八景に数えられる恋人岬には、“婦夫波(めおとなみ)”を見下ろせる場所に立つレストラン&カフェ〈BUSH DE COFFEE(ブッシュ・ド・コーヒー)〉がある。
15:50 江住駅
見老津駅から見える景色をしみじみと眺めてから電車に乗り、周参見駅へ。そこから江住駅まで戻り、宿泊先へと歩いて帰った。
16:00 望海のゆ
ホテルでひと息。夕食までの間に、ホテルの地下1階にある道の駅温浴施設〈望海のゆ〉で汗を流した。ここのお湯は、pH値の高いアルカリ性。サラサラの肌ざわりが疲れた体に気持ちよかった。・枯木灘に面した露天風呂からは「すさみ八景」のひとつ、江須崎が見える。
さっぱりしたところで、夕食へ。いったん部屋に戻ると、窓の外には夕日に染まる枯木灘が!
※時間があれば〈すさみ町立 エビとカニの水族館〉にもぜひ!
18:30 すさみ夜市
長井坂ルートを踏破した達成感のある一日は、お酒で締めたくなった。そんな気分にぴったりの場所が〈すさみ夜市〉。ホテルから徒歩3分、〈道の駅すさみ〉内にある居酒屋だ。17時~21時までオープンしており、観光客や地元漁師さんに親しまれている。
21:00 ホテルに帰って就寝
〈すさみ夜市〉を出て、宿は目と鼻の先。ほろ酔いでも帰るのは簡単だ。明日も熊野ウォークを予定しているので、早く寝て体力回復に努めた。シンプルな〈フェアフィールド·バイ·マリオット 道の駅ホテル〉の客室は居心地がよく、旅の疲れを癒してくれる。
熊野古道のショートコースや橋杭岩、鰹グルメや串本海中公園などに出合った、2日目の記事につづく!