岩津ねぎ解禁!冬のまほろば祭2023 in 但馬のまほろば レポート
2023.12.20 FOOD
11月23日(木・祝)、兵庫県朝来市にある〈道の駅 但馬のまほろば〉で、「冬のまほろば祭2023」が開催された。これは朝来市の特産品「岩津ねぎ」の解禁日を盛りあげるための恒例イベントだ。毎冬、この日の〈但馬のまほろば〉は「岩津ねぎ」を待ちわびた人たちでおおいに賑わう。祭典の様子を知るために当日、〈但馬のまほろば〉を訪れた。
「岩津ねぎ」とは、白ねぎと青ねぎの中間に属するねぎの一種。やわらかい食感と豊かな甘みが特徴だ。朝来市内にかつてあった生野銀山の労働者が、冬の間でも生鮮野菜が不足しないようにと、江戸時代後期から「岩津ねぎ」栽培が始まったといわれる。主に旧岩津地区(現在の上岩津地区・元津地区)で育てられていたことが、その名の由来だ。
「岩津ねぎ」に定義されるのは、朝来市内で収穫されたねぎだけ。さらに、出荷の際には「葉数2枚以上」「葉長1枚15センチメートル以上」「全長70センチメートル以上」といった厳しい規格を満たす必要がある。販売期間は11月下旬から3月下旬までという短さ。それら諸事情もあり、〈但馬のまほろば〉は、朝採れの新鮮な「岩津ねぎ」を販売している貴重な場所のひとつだ。
朝10時になると、〈芝生広場〉の特設ステージで地元の和太鼓チーム「和田山虎臥陣太鼓(わだやまとらふすじんたいこ)」の演奏が始まった。秋晴れのさわやかな朝に高らかに鳴り響く力強い音の競演で、「冬のまほろば祭 2023」は幕を開けた。
続いて、朝来市長・藤岡勇(いさむ)氏による「岩津ねぎ」の解禁宣言。
〈芝生広場〉の「岩津ねぎ」グルメのブースも10時からスタート。生でも焼きでも、揚げものにしてもおいしい「岩津ねぎ」の幅広い魅力を、食べ歩きで体感できた。
〈但馬のまほろば〉館内の〈土産・農産物コーナー〉には、「岩津ねぎ」の特設売り場が設けられた。棚に山積みの「岩津ねぎ」が次々とお客さんたちの買い物かごへ。
会計を済ませたお客さんにお話をうかがった。みなさん、姫路市、大阪市、京都市などのさまざまなエリアから、今日を楽しみにして来られたそう。あるご家族は「加工食品をきっかけに『岩津ねぎ』を知りました」とのこと。
「それがとてもおいしくて『岩津ねぎ』のファンになりました。ねぎそのものも食べてみたいと思って収穫時期を調べていたら、今日のイベントを知って家族で駆けつけました」。
と、大きな「岩津ねぎ」の束を抱えて、笑顔でコメント。
〈冬のまほろば祭2023〉では、子供向けの防災イベントも実施されていた。2021年6月、国土交通省によって〈但馬のまほろば〉が「防災道の駅」に指定されたためだ。万が一、周辺エリアで大きな災害が起きた場合、〈但馬のまほろば〉は災害復旧や復旧活動の拠点になる。
「岩津ねぎ」販売やグルメブース、特設ステージ、防災イベント、どれも大盛況のうちに、午後3時の閉会を迎えた。
「冬のまほろば祭2023」について、〈但馬のまほろば〉に『岩津ねぎ』をはじめ数々の農産物を届けている生産者さんの団体である〈産直の会〉の村上彰会長にコメントをいただいた。
「例年と比べても今年はたくさんの人に来てもらえてうれしかったですね。『岩津ねぎ』は青いところも白いところも全部おいしくて、どんな料理にも合う野菜です。その良さが年々広まっていることを実感し、感無量でした」。
「岩津ねぎ」の解禁日が近づくにつれ、今年の村上さん、心配がどんどん膨らんでいったという。
「夏の猛暑のせいでおおくの作物の生産量が落ちていましたから、『岩津ねぎ』の生産も解禁日に間に合うのかなとハラハラしていました。でも、『特産品である『岩津ねぎ』を多くの人に届けたい』と願う朝来市の生産者さんたちの努力で、『冬のまほろば祭2023』にはたくさんの『岩津ねぎ』が集まりました。改めて、朝来市が『岩津ねぎ』にかける思いをお客さんに感じていただける日になったと思います」。
「岩津ねぎ」を楽しみにしているお客さんと、その期待に応えようと奮闘する生産者さん。特産品が結ぶ熱い思いが、「冬のまほろば祭2023」の会場中に満ちていく。そして、その思いを受け止め、育てていく場所である『道の駅』。地域創生の真のすがたを、道の駅〈但馬のまほろば〉で見ることができた。
おまけ
冬の〈但馬のまほろば〉では日本海で獲れた新鮮なかにもたくさん販売している。「岩津ねぎ」と一緒に買って、鍋にするのがおすすめだ。